なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

ロンドンに現れた、バンクシーの彫像

2026年春、ロンドンのウォータルー・プレイスに突然出現した彫像。

 

大きな旗を掲げ、しかしその旗が顔を覆い、視界が遮られていて、胸を張って堂々と足を振り上げるも、左脚は大きく台座からはみ出し、今にも踏み外し、落下してしまいそうです。

セント・ジェームズ地区にある、このウォーター・プレイスは、フランス軍に勝利したウォータールーの戦い(ワーテルローの戦い)にちなんで名付けられました。広場の中心にはクリミア戦争戦没者追悼記念碑があり、ナイチンゲール像やエドワード7世騎馬像、ヨーク公記念柱などが設置されています。周囲は19〜20世紀の帝国建築。近くのトラファルガースクエアなどに比べて観光客は少なめですが、帝国主義的な荘厳な雰囲気のあるエリアです。

 

そこに突如として現れた、ナショナリズムを皮肉るような彫像は、出現の翌日、バンクシーがインスタグラムのアカウントで、自らバンクシー作であることを認める動画を流しました。

 

その後、この地を管轄する行政が、パブリックアートとして楽しめるよう、しばらく置いておくことを決定。(マジか、すげーなイギリス)

 

ということで、簡単な柵はあるものの、誰でも気軽に訪れて記念撮影できる場所になっています。

 

あなた、只者ではないですね?

ちなみに後ろに建っている、金色の女神アテネの彫像が目印の建物はアシーニアム・クラブ(The Athenaeum Club)というロンドンの歴史ある会員制社交クラブなんだそうです。「知性のクラブ」と呼ばれているらしく、化学者のハンフリー・デービー、マイケル・ファラデー、みなさんご存知チャールズ・ダーウィンやチャールズ・ディケンズもメンバーだったそうです。

 

ウォータルー・プレイスは式典なども行われる場所なので、バンクシーの彫像もいつまでここにあるかわかりませんから、見に行くことができてよかったです。

 

この像を見て、国の指導者はどう思うのか。またナショナリズムに煽動されている市民も、しっかり自分の目で見て歩けているか、考えさせられるのではないかと思いました。

 

みなさんはどのように思いましたか?

Art for All ギルバート&ジョージ・センター

友人おすすめのアート・スポット

この夏、ロンドンに行くにあたって、友人におすすめはないか聞いてみたところ、「ギルバート&ジョージ・センター。ブリックレーンの近くにあって、すごく心地よい場所だった。」

と言います。

 

ギルバート&ジョージはイギリスを代表する現代アーティスト。その作品の展示と保存アーカイブする施設とのこと。

 

心地良い?ブリック・レーンの近くで?

 

と言うのも、20年くらい前の私の記憶ではありますが、ブリック・レーンは移民系が多く暮らすエリアで、昔は比較的家賃などが安かったこともあり、アーティストが多数住んだりスタジオを持ったりして、若くてエネルギッシュなアートの街でした。

 

アートの街と言っても、UKですから、ちょっとガチャガチャしたイメージ。。。

 

実際に行ってみました。

こちらがBrick Laneです。何語かわからないけど、もう一つストリート名のプレートがついています。そしてイメージ通りのグラフィティ。

 

そうでした。ここはバングラデシュ系の住民が多いエリア。

こんなゲートもありました。

華やかなセントラルロンドンと違って、庶民的な雰囲気があることが伝わるでしょうか。

正直なところ「心地良い場所」とは離れた空気感だなと…。

 

 

Google Mapに従って、HENEAGE STに入っていきます。

(イタリア韓国フュージョン料理店気になるな)

 

突然の異空間

傘をさしてでも飲みたい客で大賑わいのパブの横にその入り口はありました。

まるで映画に出てくるお屋敷の門。

 

2017年にOPENしたと思われます。「5a」は住所ですね。「CRⅢ」チャールズ3世、現国王のことかな。

 

え?私、さっきまでブリックレーンにいたよね!?と確認せずにはいられない、緑いっぱいのアプローチ。写真には写らなかったけど、リスさんが駆け抜けていきました。

本当に突然の異空間。

 

元の建物がそのように使われていたものかはわかりませんが、どうやら素敵にリノベーションされていることはよくわかります。

小雨はあるものの、もうすでに心地良いんですけど。

 

自転車停めるところがある。近所の人が気軽に来れそうですね。

そうです。ここは入館無料です。

 

入り口。こじんまりしているけど素敵。最初の部屋は、スタッフのオフィス兼ショップみたいになっていました。

 

ギャラリースペース

中に広いギャラリーがいくつかあり、作品が展示されています。

二人の作品と言えば、自分たちのセルフポートレートをビビットな色のステンドグラスみたいなものが代表的だと思うのですが、緑色の知らんおじさんが写っていました。

 

こちらでは赤い服を着ている。。。

このおじさんはGrorge Cromtonさんという、ギルバート&ジョージのお友達なのだそうです。しょっちゅう二人のスタジオに来ていたそうで、ほぼホームレスのような生活だったのだそう。

Art for All、すべとの人にアートを、と考えていた二人の生き様を示す作品でもあるように思いました。

 

 

別の部屋ではカードや写真を並べた作品が。

今気づきましたけど、この照明なんですか?みたことない形!戻って確かめたい。どうなってるの?屋根の梁も素敵。

やっぱりイケメンが好きなのかな。。。

 

LONDONポストカードのシリーズ好きだった。

 

このギャラリースペースは上の階から見ることもできます。

 

別棟には小さなビデオスペース。

 

二人が日帰り旅行する映像なんですが、同じことを1992年、2021年、2025年に撮っていて、二人のユニークなやりとりも相まって、面白くて面白くて、くすくす笑ってしまいました。

そんな大きな施設ではないですけど、なんとも言えない空間の心地よさと、二人の魅力にやられて思ったより長居してしまいました。

 

これまで、このアーティストにそんなに興味があったわけではなかったのですが、ふたりが生きる彫刻として、生活の全てをパフォーマンスにしてしまっているようなところとか、全ての人にアートは開かれているべきだという考えを実践しているところとか、急激に好きになっちゃいました。


2027年には大規模個展が日本で開催されるそうです。

イギリスは遠いと感じる人も国内なら。楽しみですね!

gilbertandgeorge.jp

 

しかし、こちらの展示はArt for Allとは言えず、チケット代はとってもお高いんでしょうけど…!(泣)

V&A EAST Storehouse

5つのV&A

V&A(ヴィクトリア&アルバート)ミュージアムは、ロンドンの中心に近いサウスケンジントン地区にあり、デザインや工芸を中心としたコレクションが展示され、大人気の博物館です。日本の焼き物や漆工芸も収蔵されています。

 

V&A Childhoodという分館が中心地区より東の方にあり、おもちゃや子どもに関わる資料が展示されています。

 

… というのが、私の20年止まったままの情報でした。

 

もちろんメインのV&Aは、これまで通り。常設展は無料。ファッション系の特別展は28ポンド…に、にじゅうはち〜!?(現在約5,800円)

V&A South Kensington

 

いつの間にか、V&A ChildhoodはYoung V&Aとして生まれ変わっていました。

Young V&A

 

スコットランドにV&A Dundeeという施設ができており、

V&A Dundee | Home

 

ロンドンオリンピック跡地に

V&A EAST Museum と Storehouseが新規オープンしていました。

V&A East

 

増えすぎじゃない!?

 

特に、注目されているのがV&A EAST Storehouseであるということですので見に行ってきました!!

 

V&A EAST Storehouse

開館前に到着、すでにたくさんの方がいらっしゃいました。

後で分かったのですが、半分ぐらいはワークショップイベント?みたいなものに参加するメンバーだったようです。

 

V&A Storehouseは、BBCのオリンピックメディアセンターの建物だったそうです。

「見る収蔵庫」として、2026年、このオリンピックパークエリアに開館しました。

 

見る倉庫と言えば、スイス・バーゼルにあるシャウラガーのことを思い出します。

こちらは現代アートの倉庫でした。

ほぼ展覧会のような、鑑賞できる状態にして、そのまま倉庫にしているというものでした。

www.ma-naru.com

 

V&Aはアートよりはデザインや工芸、ファッションなど、幅広いコレクションに力を入れていて、そのバックヤードごと公開するというコンセプトなので、似ているけれど少し違いますね。

 

1階ホールの様子

ショップも最小限 写真右側にある階段が入り口です。

 

すでに倉庫感が満載の廊下を通り、公開スペースへ上がって行きます。

 

4階建、バスケットコート30面分以上のフロア面積というV&A Storehouseのメインの景色がこちらです。

壮観…!

 

階段を上がって、歩けるのは2〜4階の中心部分です。

 

1階部分は立ち入り禁止。実際にスタッフが収蔵物の調査やアーカイブなどの仕事をしている様子を2階から覗き見することができます。

 

床がガラス張りだし、真上から見えます…(こわ)

 

家具や楽器、絵画や陶器、、、あらゆるものが収められています。

 

これ、この壁と窓、なんだかわかりますか?

どうやら団地の外壁なんですよね。多分、集合住宅のデザインの資料としてコレクションされたのだと思います。

この他にも、ユニットキッチンとか団地のドアノブとか比較的新しい時代のものだと感じるようなものも収蔵・展示されていました。

団地って今では庶民の住まいですけど、誕生した時は、新しい暮らし方として、相当な発明だったのではないでしょうか。

 

 

この辺りは、子ども向けのおもちゃや家具。

ドールハウスは、イギリスで爆発的人気のおもちゃだった時代があるらしく、V&A Childhoodにたくさん置いてあった記憶があります。

Young V&Aに名称が変わって、今はどんな博物館になっているのかな。

 

 

David Bowie関連の資料がたくさんあるのが目玉なようです。

隙間から、衣装のチェックをしている様子が見えました。

David Bowie センターなる専用室があるようで、見学は特別な許可か事前の予約が必要みたいでした。

 

見れる倉庫とはいえ、立ち入り禁止エリアの方が多いので、何やらすごい収納棚が並んでいるエリアなど、金網の向こうに見えました。お宝が眠っているのですね?

 

カフェスペースもあり、朝からまったり過ごす人たちがいらっしゃいました。

 

注目の新スポット V&A EAST Storehouseでした!

 

おまけ。もう一つのV&A EAST、Museum

駅近くにあるのがV&A EAST Museumです。規模は小さめ。ブラックミュージックにまつわる特別展が開催中のようでした。

 

無料エリアだけ、サクッと鑑賞

こちらのMuseumは、何がしたいのか、いまいちわかりませんでした。

 

V&Aはサウスケンジントンの展示で十分すぎるくらい充実しているし、この分館の存在意義はなんだろう…。

観光客は少なめなのでゆったり見ることはできました。

 

頻繁に展示替えしたりするのかな?

 

ロンドン東部に焦点を当てた写真展も開催されていました。

 

私は元々この辺りがどんな街だったか全く知りませんが、もしかするとオリンピック開催のための再開発で、消えてしまった景色のあれこれがあるのかもしれません。

 

地元の人にとっては何か大事な要素のある展示だったのかもしれません。

駆け足で見たというだけでなく、ローカルな事情って、ちょっと見るだけではわからないことがたくさんありますよね。

 

テラスからオリンピックスタジアムとアニッシュ・カプーアの塔。インド系イギリス人で、世界的大御所アーティストです。ヘイワードギャラリーで展示が開催中だそうです。そちらは時間が足りなくて行けませんでした。

天気が悪いこともあり、オリンピックパークは寂しい感じでしたが、駅周辺はオフィス街的な賑やかな感じでした。でも、世界中どこでもありそうな景色で、ロンドンらしさは薄かったかな〜。

 

まだまだロンドン旅行記続きます。

ロンドンで一番小さな国立美術館『Sir John Soane's Museum』

Sir John Soane’s Museumへ行こう

サー・ジョン・ソーンズ美術館はロンドンのホルボーン地区にあります。

過去記事に書いたハンタリアンミュージアムはリンカーン・インという公園を挟んで向かい合わせに位置していますので、同時訪問がおすすめ。

 

リンカーン・インの写真を撮り忘れました。ブログに書くなら資料として撮るべきだったのに。

なんというか、あんまり素敵な公園に感じられず、カメラが向かなかったのです。

多分、その理由は2026年、今年の夏にヨーロッパを襲った熱波です。

ロンドンも約3週間、雨が全く降らない日照りが続いたそうです。多分そのせいで、芝生が枯れていたのです。なんだか全体的に茶色い。元々のロンドンの公園といえば、冬でも緑色が鮮やかな種の芝生が美しく、晴れた日にはついつい寝ころびたくなる、そんな素敵な場所なのですが…。

 

見上げると木々は元気に葉を茂らせていましたので、芝生が復活すれば、また元の美しい公園に戻ることでしょう。

 

というわけで、朝10時にハンタリアンミュージアムに行った後、11時半ごろ、サージョンソーンズ美術館に到着しました。

 

並んでました。

 

 

建築家、サー・ジョン・ソーンズの骨董蒐集

18~19世紀に活躍した新古典主義の建築家、ジョン・ソーンの邸宅兼スタジオをほぼそのまま美術館にしているそうです。

 

ソーンは骨董や絵画のコレクターで、邸宅に所狭しと陳列しました。

ローマ時代のものなど、貴重なものがいっぱい!

 

天窓から明かりが入るようになっており、この吹き抜けエリアが本当に素敵です。

吹き抜けの最下層、地下一階にはヒエログリフが美しい大理石に刻まれた、エジプトの棺が置かれていました。凄すぎる。

 

観光ではなかなか一般の家屋に入ることはできませんが、元邸宅ということもあり、なんとなくロンドンの昔の住宅の内装なども垣間見ることができます。

街中だし、きっと裕福なお家なんでしょうけど、間口や階段の狭さだったりというところが、体感できて、そういう点でもわくわくします。置いてある調度品も全部気になる。ロンドン一小さな国立美術館とのことですが、一軒丸ごと美術館で骨董品もぎゅうぎゅう。見応えがありました。

 

もう一周ゆっくり見たかったのに、スタッフに誘導されるがまま出口まで来てしまいました。

 

どちらにしても、その後の予定があったので、ショップで少しお買い物をして鑑賞終了。

きゅんきゅんするデザインの商品がたくさんあったのですが、物価高に加えての円安で、どれも高級品なので、お買い物は控えめにしました。

 

しかし、帰国した途端、10円くらい円高傾向になって泡吹きそうです。

とほほ。

解剖医の驚異の部屋、Hunterian Museum

!!注意!!

今回の記事には、生物の標本の写真などが多くあります。苦手な方はスキップしてください。

 

世紀の奇人、ジョン・ハンター

ジョン・ハンターは18世紀のイギリスで、解剖医、外科医として活躍した医師です。変わり者として知られていました。世界の珍しいものを集め、裏ルートで解剖するための人体を手にいれることもあったとか。

「ドリトル先生」や「ジキル博士とハイド氏」のモデルとも言われています。

 

そもそも、当時のイギリスは、体にメスを入れる外科医は気味悪がられていたのです。今となっては、当たり前を疑い、実際に自分の目で見てみないとわからないと信じ、解剖することで証明していったハンターの活動はイギリスの解剖学に多大な貢献をしたと言えますが。

 

その自分の目で見て観察する研究は、ダーウィンよりも早く進化論的な考えに辿りついていたそうです。

 

Hunterian Museum (the Royal Collage of Surgeons of England)

そんなハンターは、解剖標本だけでなく、冒険家などから珍しい動物を手に入れるなど、さまざまな蒐集をしました。そのコレクションの3分の2は戦争で焼けてしまったそうですが、残ったものはロンドンにある王立外科医師会の、ハンタリアン・ミュージアムの中で展示されています。

入場無料です。

 

驚異の部屋風でありながら、結構、新しい感じの展示空間です。

驚異の部屋(ヴンダーカンマー)とは、15世紀から18世紀にかけてヨーロッパの王侯貴族や学者たちが作った、あらゆる珍品を集めた博物陳列室のことです。

KITTEにあるインテーメディアテクっぽい感じです。逆にKITTEの展示は驚異の部屋を意識していると思います。

迫力のある動物の頭蓋骨。これを18世紀に個人で蒐集したのかと考えるとなかなかすごいです。

 

前半はジョン・ハンターの生涯がわかるような展示になっていました。

森羅万象、他の人が気にしないようなことも気になって、なんでも知りたいと思った好奇心旺盛な子ども時代だったようです。

 

 

やはり、解剖学者であった兄ウィリアムとのストーリーも物語調に映像になっていました。

ちなみに兄も結構なコレクターだったようで、兄のコレクションは二人の故郷のスコットランド、グラスゴー大学構内に、ハンタリアン美術館として展示されています。

 

閲覧注意が続きますので、苦手な方は避けてくださいね。

解剖することであらゆる病気の真実に迫り、無駄な外科手術を避け、人々の命を救おうとしたハンター。人体を含むさまざまな生物の標本が並びます。

 

これはツノを移植された鳥。

 

デジタル展示も多く、楽しめる仕掛け。

顕微鏡の写真を見れます。

 

最後の方には近現代の医学の展示もありました。

 

ずっと行ってみたいと思っていたので、来れて良かったです。

小さなミュージアムですが、ボリューム満点でした。

 

ジョン・ハンターを知る一冊

ジョン・ハンターのことを知ったのは友人におすすめされて読んだ伝記本でした。

『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)』

 

 

とても面白いです。チャールズ・ダーウィンは有名ですが、ジョン・ハンターのことはあまり知られていないように思います。

改めて読みたくなってきました。

ハンタリアンミュージアムに行こうかな、と興味を持っていただいたなら、必ずこの本を読んでから行くことを強くおすすめします。

きっと何倍にも楽しめると思います。

 

私は平日の朝イチに行ったので、すぐに入ることができましたが、週末や午後は並ぶこともあるそうです。計画的に行きたい方は予約もできるそうです。ウェブサイトはこちら。

hunterianmuseum.org

 

公園を挟んで向かいのサー・ジョン・ソーンズ・ミュージアムとセットで行くのがおすすめ。次回の記事で書きたいと思います。

火災後のBattersea Arts Centre、再訪の日、ロンドンは雨、そして虹。

今週のお題「雨」

ロンドンに行ってきました。

 

しばらく美術館を中心にロンドン報告が続きますが、まずは行っておきたかった場所のことを書いてみようと思います。

 

ロンドンらしい雨の日です。傘はさしている人もいるけど、多くの人が傘を持たないのがロンドンスタイル。

雨の朝、行きたかったそこへ向かいました。

Battersea Arts Centreへ。

ちなみにイギリス英語ではセンターの綴りはCenterではなくCentreです。

 

Batterseaというのは街の名前で、テムズ川を挟んで高級住宅地Chelseaの南側にある、まあまあ庶民的なエリアです。少し高級な場所もありますが、総じて普通の住宅街が広がっています。Clapham Junction駅というハブ駅があり、そのプラットフォームは17番まであり、誰が言ったかロンドンの新宿駅。周辺は普通の住宅街ですが、利用者数はとても多く、そこだけ見れば新宿駅…いや、流石に無理があるかな。

 

Battersea Arts Centreはこの駅からLavender Hillという坂を登ったところに建っています。昔はラベンダー畑があったそうです。

舞台やパフォーマンス、音楽ライブを中心としたアートの活動をしている施設で、私もイギリスに住んでいた時は何度か訪れたことがある場所です。建物の前は何度も通ったお馴染みの道です。

赤煉瓦とライムストーンの組み合わせでできた可愛い外観。元々はBatterseaのタウンホール、町役場として建てられたそうです。

 

これはかつてのBattersea Arts Centre、2008年ごろの様子です。

実はバタシーアーツセンターは2015年に深刻な火災にあっています。改修工事中の火事で、大ホールを中心に屋根も焼け落ちました。幸いなことに怪我人はなく、必死の消火活動で、大通り沿いの一階を中心とする一部は残りました。

 

こちら、入口です。真っ黒こげの台の上に載っている写真集。消火後、瓦礫の山となったバタシーアートセンターの様子を写真に残したのです。

火事の凄まじさを想像させます。

この本はJake Tilsonというアーティストが撮った写真集。

Jake Tilson / Publishing/ The Lavender Hill Phoenix

いくつか写真が紹介されていますので良かったら見てください。

https://www.jaketilson.com/publishing/phoenix/PhoenixBookPreview.pdf

 

 

 

焼け残って修復された部分を見ていきましょう。

床は可愛いモザイクタイル。

床にハチさんがブンブンしている柄がお気に入りなのですが、やはりこのあたりが元々ラベンダー畑だったことに関連しているのかもしれません。ラベンダー以外の作物や花もあったり、養蜂もしていたのかもしれませんね。

吹き抜けの天井画も見えますね。

インペリアル・ステアケース、大きい階段から踊り場で分岐する、劇場でよく見るタイプの大きい階段ホールが素敵です。

 

元々どんなだったか思い出せません。

このドーム型のステンドグラスはどこにあったっけ?

 

まだ朝早いこともあってか、奥の方は薄暗い。

ポスター可愛い。

 

修復された境目が見えますね。多分、奥の方の大ホールはほぼ焼け落ちているんじゃないかと思います。表の玄関側の顔になる方が残ったので、なかなか大火事だったことは外観から推測するのは難しい。

関係者エリアが多く、あまり奥まで行くことができませんでした。

廊下に誰かのアートワーク?

 

カフェもあります。

少しレトロな雰囲気が落ち着く。

記念にコーヒーを飲んできました。

 

野外には火事の様子を物語るモニュメント。

122年の歴史を支えた天井は崩壊しました。

南ロンドンの消防士たちの4時間にわたる戦いの末、建物の一部は救われました。

 

外観はほぼ私の記憶と変わらないバタシーアートセンターですが、大きく変わったのがこの横断歩道。虹がかかっています。

虹はLGBTQのシンボルだったりするので、アート系の人たちのメッセージなのかもしれませんが、私には未来への架け橋のような希望を感じさせる素敵なアートだなと思いました。

 

雨の中に架かる虹を渡って、Batterse Arts Centre訪問を締めくくりました。

 

『知の革命家たちトリスタン・ツァラ』読んでみた

スイス・チューリッヒは前衛芸術運動「ダダ」の発祥地です。

(ダダと聞いてシマシマのあいつを思い出した人は、名誉日本人です。)

 

ダダは、既存の価値観を否定する反芸術運動の先駆けの一つでした。ダダを提唱したトリスタン・ツァラは兵役から逃れるようにスイスの大学に進学した詩人でした。戦争(第一次世界大戦)の不条理に対する反発から、それまでの常識や概念を覆すような表現が生まれたのです。

 

前衛芸術表現と言えば、「マシンだ!ノイズだ!」と頑張ってた未来派と呼ばれる人たちがイタリア中心にいたのですが、この人たちは、「機械だ!パワーだ!直線だ!」とやっていたので、真っ直ぐ戦地へ向かい、ほとんどが戦死してしまったと聞いたことがあります。

 

同じ時代にシュルレアリスムというものもあります。

シュルレアリスムかダダか、場合によっては同列のようなものに扱われることもあるのではないでしょうか。

 

スイスで、反芸術運動の「ダダ」が生まれ、そこから分裂したアーティストが超現実主義「シュルレアリスム」を発展させ、ダダは衰退…。

つまり、ダダメンバーで仲悪くなった人たちがいたってことかな!

 

こちらがダダが生まれた地、Cabaret Valtaireです。1916年にダダ宣言がありました。

「ダダは何も意味しない!ダダ!ダダ!」というやつですね。(雑でごめん。)

 

聖地巡礼。

当時は酒場だったらしいですけど、今はカフェバー。コーヒーぐらい飲みに入れば良かったんでしょうけど、スイス値段が怖すぎて、入れませんでした。

後で調べたら、展示もやってるっぽいので、ぜひ入ってください。

そうです。めっちゃ後悔しています。

15スイスフランくらいで飲み物注文できるっぽいです。3000円くらいでしょうか…。高級ホテルのラウンジかよ!

 

 

 

 

www.swissinfo.ch

 

トリスタン・ツァラの有名な「ダダの詩の作り方」という詩があります。

ざっくり言うと「新聞の記事を言葉ごとに切り分けて、シャッフルして一語ずつ取り出して並べると、あらびっくりダダの詩の完成!」という詩なんですけど、言葉のコラージュみたいな感じでやってみるととても楽しいのです。

 

それくらいの知識しかトリスタン・ツァラのことは知らなかったんですが、『知の革命家たち トリスタン・ツァラ』(著:塚原 史)と言う本を見つけました。

出版されたばかり!

一冊まるまるツァラ!

そんなことある?思わず手に取ってしまいました。

 

 

ある程度この時代の美術史に詳しかったり、勉強中だとめちゃめちゃ楽しい本なのではないかと思いました。

(正直に言うと、私は知らないところ、わからないところは飛ばし飛ばし読みました。知識と教養の足りなさが露呈。)

専門書だから、楽しむものではないのかもしれないけど、文体が現代なので、かなり読みやすい専門書だと思います。令和の学生さんでも読める!時代にあった解説本があるのは本当に素晴らしいことです。

 

大きく二部構成になっています。

一部でツァラの生涯を、二部でダダ宣言などの作品の引用と解説をしてくれています。

一冊で、かなりコンパクトに充実した内容を書いてくれています。 

 

詩の部分とかは、さらっと読むには勿体無いので、時間がある時にしっかり読んでみたいな、と思う内容でした。

 

ダダイズム自体はシュルレアリスムに取って代わられたこと、またその後の時代の流れによって存在が薄くなっていったかもしれませんが、ツァラが生涯ダダイストを貫いたことが知れてとても良かった。

最後にクライマックス的な詩を持ってくるあたりに著者のツァラ愛を感じました。

 

ダダについて、もっと知りたい人におすすめの本です!