なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

スカーレットの深先生と、香港の学生たち

イッセー尾形劇場ここにあり、と話題の今週の「朝の連続ドラマ小説」略して朝ドラ、「スカーレット」。陶芸家への道を進む女性の物語。朝ドラって15分で1話を作るから、芝居じみた感じに思うこともあるけれど、その合間合間に、ぐぉぉぉぉおお!!って観ている側を惹きつける場面も入れてくるんですよね。

 

 

今週話題の場面です。

絵付けの先生、深(ふか)先生が集中する時間は弟子も遠慮して退席するほど…なのに、どんな顔をしているのかと気になって、ついつい覗き込んだ主人公の喜美子。


深先生は…

 

「こんな顔してはった…!」

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幸せそうな顔。笑わずにはいられない。あー、絵を描くって楽しいな、嬉しいな。


深先生は日本画家として認められていたけれど、従軍画家として召集されたのです。

戦争画を描くために。


心を痛めて、一度は筆を折った深先生が出会ったのが、絵付きの火鉢。


戦時中は考えられなかった「火鉢に絵」という贅沢。


心の贅沢ができる時代が来たことが、嬉しくて嬉しくて、幸せで、笑いながら絵を描いていたのです。



そんな深先生を見て、やっぱり絵付けへの思いが復活するけれど、喜美子は家が貧乏で修行なんてしている余裕はなさそう。そんな喜美子の迷いに深先生は一喝します。


「貧乏に負けたらあかん。」


(深先生も貧乏だったって言うけど、戦前に日本画家になれるのは本当は貧乏ではないのでは?…そのエピソードちと無理ない?という疑問はあるけれど。)


話はそれますが、ボルタンスキーはお金を稼ぐ

ことは「良いアーティスト」であることよりも簡単だ、と言います。


私の人生、貧乏に負け続けてるからなぁ。ぐさっ。


それよりも、「平和で絵が描ける幸せ」が今の私の胸に深く突き刺さります。


今、香港の情勢がいよいよ危うくて、香港警察の中に中国本土の軍関係が入り込んでいるとか、一部の暴徒化するデモ隊は中国本土の仕込みだとか、いろんな噂も飛び交っていますが、そのぐらいの混乱になってしまい、ついには大学も闘争の場となってしまいました。報道に関しては、刺激的な映像を流す傾向があるから信用ならないことも多いから一部の学生の話かな、と思っていたのですが…。


私には香港の大学に通う若い知り合いがいます。美術を専攻していると言って版画の写真を見せてくれたこともありました。その子に「最近勉強忙しい?」とメッセージで聞くと、「大学は今、休講状態。」と返事。


がーん、、、


私の大学時代は、好きな時に絵を描いて、疲れたら学校のアトリエの毛布にくるまって仮眠を取ったり、仲間とたわいもないおしゃべりを楽しんだり、無駄に「芸術」について悩んだり、当たり前に楽しい日々を過ごしていた。


深先生のおっしゃる通り。

絵を描く、絵を楽しむ、そんな贅沢ができるなんて、なんて幸せなことか…!


香港の人達が当たり前に楽しいことを楽しめる日が早く来ますように!




最後に、裏話ですが、深先生の作品の図案を裏方で描いている画家は、まさに深先生のように「楽しいて堪らん!」と本当に嬉しそうに絵を描く才能あふれる女性です。技術も知識も好奇心も持ち合わせ、芸術と人間に愛を持って常に接していて尊敬しています。会えばきっとファンになります。


プロフェッショナル仕事の流儀に呼ばれてもおかしくないなぁ。


ああ、来週もスカーレットのこと書いてしまいそう…