お片づけが苦手です
片付けの能力よりも、圧倒的に散らかす能力が優っている、なる子です。
どうしてこんなに散らかるのか。
もちろん、綺麗に整頓したはずの鞄の中もすぐにぐちゃぐちゃ。
それでも気合いを入れればなんとかそれなりに片付けることはできるものの、大人になってからより一層ひどくなっている気がする。
傘を電車に置いてくるのは序の口で、部屋の中でなくなるものが多すぎる。
どうしてエアコンのリモコンが消えたのか。
謎は謎のまま。
間違えてゴミ出ししてしまったか。。。
これは痴呆か、はたまた最近よく見かける発達障害か。
子育て支援の現場で「発達障害」との関わりは、かなり重要な部分を占めます。
彼ら特有の感じ方、考え方、行動、これらの理解なしに正しい対応をすることはできません。
今回は、自分自身を見つめ直し、発達障害という個性について考える時間になればと思います。
私って発達障害?自分の傾向を知る
境目はどこ?
ネットやテレビなどのメディアで取り上げられるたびに、発達障害の特徴が自分に当てはまることが多いと感じる人は少なくないのでは?
「その程度のことで発達障害だったらみんな発達障害になってしまうじゃないか!」というコメントを見たこともあります。うん、そうですよね。
発達障害の特徴って、結構ありきたりなものが多いですよね。違いや境目ってどこにあるのでしょうか。
私が受けた研修で、一番しっくりきた説明はこちらです。
東京都小児総合医療センターで受けた研修です。
発達障害とそうでない人の境目は、
日常生活に支障があるかどうか。
多くの人は少なからず、発達障害の特徴に近い性格を持っているはず。
しかし、その特徴が著しく、日常生活に困難を覚える場合は発達障害と診断されることがあるのです。
だから、ネットの情報の一片だけを見て、自分は発達障害?と思った人は日常の生活を振り返って欲しい。普通に生活しているのであれば、多少の個性はあれど、あなたはいわゆる「普通の人」です。
今、必要とされているのは、発達障害について正しく理解してもらうことと、正しい支援を行うことです。人間は理解できない物に対して、苛立ちや怒りを覚えることがあります。しかし、理解が深まれば不安は解消し、優しさを持って対応できるはず。
これは会社内のコーチングにも繋がると思うので、発達障害について学ぶことは得なことばかりだと思っています。
自分の傾向(フレーバー)って?
発達障害(自閉スペクトラム症やADHD注意欠如多動性障害など)は、見えにくい障害と言われています。
まず、自分自身を知ることで、見えにくい障害について理解を深めることができると思います。
それは自分にどんな傾向があるか、ここでは「フレーバー(風味)」と言う言葉で表してみます。自分は何風なのか?
次のグループAとグループBの項目の中で、当てはまる物を数えてみます。
どちらのグループの方が自分に当てはまる項目が多いでしょうか
グループA
・初対面の人と話すのは苦手
・打ち解けるのに時間がかかる
・物の置き場所などにこだわりがある
・日常生活の中で、自分なりの手順などのこだわりがある
・事前に計画を立てて行動する
・ひとりで過ごすのが好き
・没頭して夢中になれるものがある
・慣れた環境が落ち着く
グループB
・誰とでも話すことができる
・初対面の人でも、すぐに仲良くなる
・おしゃべりが好き
・物忘れや無くし物が多い
・片付けが苦手で、部屋が散らかっている
・遅刻が多い
・初めてのことのにも躊躇せずチャレンジできる
・嘘をつけない、思ったことをすぐ口に出す
グループAの方が多かった人
自閉症フレーバーです。
グループBの方が多かった人
ADHDフレーバーです。
このミニチェック項目はあくまでも自分の中の傾向を知るもので、発達障害の診断項目ではありません。
なる子の場合、Aの中に当てはまる項目もあります。でも、物忘れ、なくし物、部屋が散らかっている、などの項目からどちらかと言うと、グループBの「ADHDフレーバー」ですね。
ざっくりAかBかで分けるのは強引ではありますが、ちょっとしたワークショップだと思って是非やってみて欲しい。
自己紹介をしてみよう
もしも、自己紹介の時に、次の項目を入れながら話してみると…どうでしょうか。
・名前
・フレーバー
・こんな性格
・こうやって接してもらえると助かります
グループBが多かったなる子の自己紹介は、例えばこんな感じ。
「私はADHDフレーバーのなる子です。忘れっぽいので、仕事の依頼やスケジュールについて、確認の声かけを時々して欲しいです。あと、変な所に物を置き忘れてしまうことがあるので、見つけたら届けて欲しいです。」
グループAの項目が多かった人の自己紹介は…例えば。
「自閉症フレーバーの〇〇です。人見知りがちなので、自分から声をかけるのが苦手です。でも、お友達になって欲しいと思っているので、優しく話しかけて欲しいです。仕事に没頭すると周りの声が聞こえにくくなります。返事がなかったら、肩を叩いて呼んでください。」
ものすごく日常生活に困っている訳ではないけれど、初対面の人に、支援の方法を自分から伝えることができれば、コミュニケーションもスムーズにいくのではないでしょうか。相手を理解していれば、不快感を覚えたり、腹が立ったり、むやみに叱ったりしないで済むと思うのです。
あと、当てはまる項目が両方にある人がほとんどだと思いますが、実際に自閉症とADHDは両極端なものではなく、緩やかにどこかで繋がったり重なったりしていて、発達障害の方達も両方が混在していることが少なくありません。ここにLD(学習障害)とか他の要素も加わってきて、完全にそれぞれの個性を形成しています。
理解されないことで起こる2次障害とは、心の傷のことです。自己肯定感の積み重ねが子どもの心を豊かに育むのです。その逆の自己否定は、心を追い詰め本人にとっても周りにとっても苦しみしか生み出しません。
「発達障害の人にはできない」と決めつけないで欲しい。「この方法なら伝わるし、できるようになる。」と少し視点を変え、行動を変えるだけで、支援はもう始まっています。
自分を知り、支援を求めれば、生きるのが少し楽になるかも
片付けが苦手な、なる子ですが、とりあえず気合いを入れれば片付けもできるし、たまに物を無くして困ることもあるけれど、日常生活に支障があるレベルとは言えませんし、診断を受けずとも発達障害ではない、と言えます。
例えばADHDの、物をなくすレベルは本当に日常生活に支障をきたします。
とある人は、「タクシーに乗るたび何かしら忘れてくる。」と言っていました。主に携帯電話。…大変そうですね。常に色んな物音が同時に耳に入ってきて、どこにいても渋谷の雑踏の中にいるようだ、とも言っていました。
子どもだと、学校のプリント類やらをなくすのは日常茶飯事。周りが大きな声を出すとうるさくてイライラするけれど、理解してもらえない。など、よくある話です。
子育ての現場で、こんなことがありました。
発達障害の子が何度言っても、提出する物を忘れる。
「昨日も言ったばかりだけど、今日も忘れていたね。どうすればできると思う?」
と、尋ねてみました。
「僕、忘れん坊だから、出す時間になって忘れていたら声をかけて欲しい。」
と、その子はこう答えました。
返ってきた答えに、「なるほどな。」と思いました。
自分を理解した上で、具体的な支援を求めたこの子に関心しました。
「時間になって忘れていたら声をかける。」
ちょっとした支援で、他の人と同じことができるのです。
これが、ひと昔前の自分だったら、「忘れん坊なんて言い訳だ。他の人もやっているんだから、自分で気が付いてもらわなきゃ困る!」とか思って注意していたかもしれない。
「早く出しなさい!どうしてできないの!」
よりも、
「時間だよー、出してねー。」
の方が気持ちに寄り添っているし、お互いに心地いい。
お互いに理解し合い、心地よいコミュニケーションを取ることができれば、発達障害があっても生きづらさが軽減されるのでは、と思うのです。
今回は誤解なきよう、丁寧に書いたつもりですが、専門家ではないということをご承知いただきますようお願いします。
私もまだまだ勉強中です。
小児総合医療センターのページです。でも医療センターは緊急性の高い人優先です。まずは地域の福祉センター的な所に相談するのをおすすめします。
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