バイエラー夫婦の美術館
バーゼル郊外にあるバイエラー財団美術館はバーゼルに来たら絶対行けと言われる美術館の一つです。元々アートディーラーだったバイエラー夫妻が蒐集した世界の名品が250点以上コレクションされているそうです。美術館建築は、ポンピドゥーセンター、関西国際空港を手掛けたレンゾ・ピアノによるもの。あの関空の中のピンクみたいな色好きじゃないけど、屋根の構造とか関空もかっこいいな〜って思う瞬間ありますね〜。
さて、この美術館建築は、本当に美術展示のために設計されていて、すごく良かったです。
外観はそんなに派手じゃないんですけど、中に入った時の心地よさがたまりません。
展示室の真ん中によくベンチが置いてあることがありますが、ここはあまり展示室に置いておらず、建物の外を眺めることができる場所にたくさんベンチやソファが置いてあります。
関連書籍もあったりしてゆったりしています。
郊外の緑豊かな風景に癒されます。
庭に面しているベンチも。ちょっと怖い噴水彫刻が見えます。
こういう場所が各所にあって、ぐるぐる回遊しながら時々休んだりできます。
お庭には彫刻作品がいくつかあるだけでなく、可愛い建物のレストランなどもあります。
コレクション展
入場料は25CHF。企画展も含む値段ですが、円安も手伝って約3300円です。
残念ながらスイストラベルパス、ミュージアムパスは使えません。
ピカソ、ルソー、モネ、ゴッホ、セザンヌ、ジャコメッティ、ロスコ、リヒターなど。印象派から近現代アート中心のコレクションは名作揃いです。
今、一番はじめにお出迎えしてくれるのはこの作品
縦2メートル、横3メートルの巨大ルソー…。迫力。かもしか…には見えないけれど、怯えて血の気が引いて目から光が消えていくような感じはします。あ、モデルは博物館の剥製だからライオンも死んでたと思いますけど。
この絵はミュージアムショップの目の前なのですが、長いソファがあって、多くの人がくつろいでいました。
さて展示室ですが、「嘘でしょ?」って思うぐらい贅沢な空間使いです。
ん?これってバーネット・ニューマンだっけ?
部屋広すぎて絵が小さく見える。
モネの大聖堂の絵が贅沢な空間を使っていてびっくりした後に、壁一面埋める勢いの巨大睡蓮が登場しました。
もはや、なんじゃこれ状態。モネが描いたのは本当にただの『睡蓮』なの?
同じ部屋の向かい側にはゲルハルト・リヒターの作品がずらり。
絵具を引きずったようなリヒターらしい作品も置いていましたが、写真を撮り忘れたみたい。
リヒターは現代アートの生きる巨匠(今年90歳)ですが、ゴテゴテの絵具の具合とか、目の前にモネがあると、ついつい比べてしまうし、なんだかモネの凄さが際立ってしまう。
モネXリヒターの組み合わせは最近よく見かけるような気がします。誰か有名な評論家が何か言及したんでしょうか?
とにかく同じ部屋にこの組み合わせがあるのはしびれました。
コレクション展では、ゴヤの『戦争の惨禍』の版画シリーズもありました。
ゴヤが目撃した戦争のリアルな悲劇が描かれています。横の解説文ではキュレーターからの言葉で、ウクライナ侵攻に反対するということが書かれていました。
特別企画展『ジョージア・オキーフ』
なんとなく、女性アーティストの展示をよく見る気がします。
何度も展示されている男性アーティストよりも、大回顧展の機会がこれまで少なかった女性アーティストの方が目新しさがあるのかもしれませんし、ジェンダー平等を意識したときに女性アーティストを選んだのかもしれません。
花を拡大した作品で有名ですよね。
山の絵もたくさん。
オキーフの作品がたくさん見られるだけでなく、その一生や人柄も見えてくるような展示でした。
次の展示はモンドリアン
6月からモンドリアンの展示が始まるそうです。
うわ〜〜〜〜、見たい〜〜〜〜。もう一度25CHF払うの?きつぅ〜〜〜〜。
でもバイエラー財団ではモンドリアンの研究もしているっぽいのです。
モンドリアンは木などの自然物を描いているうちにだんだん要素が凝縮されてあのモダンな絵画になっていったという謎のアプローチで現代アートになっていった謎アーティスト。
絶対面白いじゃん。
そんなこんなんで、やはりバーゼルは少数の金持ちのおかげで現代アートの街になっていることを実感できる美術館でした。周りものんびりした風景が広がっていて素晴らしいです。
ドイツとの国境、ヴァイス川を越えながら1時間くらい歩けばヴィトラ・デザイン・ミュージアムです。丸一日使ってアート・デザイン三昧もいいと思いますよ〜。