ヴィトラ・キャンパス
バーゼルで建築巡りをしようという人が、必ず足を運びたい場所、それがヴィトラ・デザイン・ミュージアムです。正確にはスイスのバーゼルではなく、国境を越えてドイツ領のヴァイル・アム・ラインにあります。ここにはインテリア業界で世界屈指のブランド、ヴィトラVitra社の工場施設があり、その敷地一体をヴィトラ・キャンパスと呼び、ミュージアムなどが併設されています。
ちょっと待って!
ミュージアム「など」とは…
・ザハ・ハディッドの消防署
・アルヴァロ・シーザの工場
・ジャン・プルーヴェのガソリン・スタンド
・カールステン・フラーの滑り台
・ヘルツォーク・ド・ムーロンの複合施設Vitra Hausと、イームズをはじめとするインテリアのコレクションが展示されるVitra Schaudepot
など。
そうです。ここは建築パラダイス。建築ファンにとっては建築の聖地とも言える場所です。
どんな建築があるか、詳しくは公式サイトをご覧ください。写真付きで見ることができます。
もちろん工場など見れない部分はありますが、有料で入れる展示と、ショップやカフェ、ガーデンもあって一日たっぶり過ごすことができます。私が行った時も祝日だったため、多くの人が訪れていました。車で行くのが一番楽ですが、バーゼル駅でトラム8番に乗って終点から歩くのもアリだし、時間があるならバイエラー財団美術館に行ってから、ウォーキングも良さそう。郊外なので気持ちいいし、良い運動になると思います。徒歩50〜60分くらい。
では、主な見どころを紹介します!
ヴィトラ・デザイン・ミュージアム
中では特別展が開催されていました。「Plastic : Remaking Our World」展。プラスチックをテーマにした展示です。私たちの生活を便利にしてくれるプラスチックですが、同時に海洋ゴミなど、深刻な問題も引き起こしています。プラスチックの歴史と、これからの解決方法を模索する試みを展示する内容になっています。
ゴミで溢れる廃棄場や海など、多少ショッキングな映像も出てきますが、ほぼ人間が映らないので、あまり感情的にならずに済むようになっていたかと思います。日本も資源ごみの処理を海外に押し付けていたりする現実があるので、現状の問題は大変複雑なことはわかっていますが、この展示では社会問題には大きく触れず、素材から解決策へ導く可能性と方法を展示する内容だったと思います。このあたりがデザインの良さでもあり、ずるい所でもあるな、と思ってしまいました。なんか、デザインやっている人はカッコよく見えるし正義っぽい。泥臭い部分は他に押し付けているようにも感じてしまうんですよね。
とは言え、やはり、デザインができることを示すことには意味があります。プラスチックを生み出してしまったのは先進国です。環境負荷の低い素材を研究開発することはお金のかかることだけれども、率先して資金のある国や人、企業がすべきことでもあるなと思いました。プラスチックゴミで溢れる国やエリアを非難するのではなく、新しい方法を提案し、実行し続けること、それが大事なんじゃないかと思いました。
新素材の開発やプラスチックのリサイクルの展示は、触ってみたい気持ちを抑えるのがとても大変でした。
ミュージアムの前には、展示でも紹介されていた、一目で水が出そうとわかる給水機がありました。
スイスは水が綺麗で豊富なので、街のあちこちに噴水があります。これは鑑賞用として作られたものではなく、元々は生活用水の為なのだと思いますが、今でも普通に飲めるようです。
水槽ではなく蛇口の方から水を水筒に入れて飲んでいる人を見かけることもあるので、大丈夫。
外から見た奇抜感と中の様子はなんだか少し違います。
意外に大人しいというか…。ちゃんとホワイトキューブな感じの展示室でした。
螺旋階段がいいですね。
建物も裏側から見ると丸みのある場所は階段なんだな、と納得です。意外に機能的な作りなのかも。
不思議な建物でした!
ヴィトラハウス
わー!イームスチェアが観覧車みたいに回ってる!!
ここは無料で入れる施設で、カフェ、ショップ、子どもたちの遊び場などがあります。
ショップにも可愛いものがたくさんあって、欲しくなりました。値段表記がわかりにくく、いくらなのか結局わからなかったものもあり、買わなかったですが、見ているだけでも楽しいです。
ヴィトラ・スライド・タワー
楽しい滑り台!安全のため、布の袋のようなソリで滑ります。そのままだとお尻が焼けてしまいますよね。今回は子どもたちが楽しんでいたので滑りませんでしたが、一度ロンドンのテートモダンにフラーの滑り台が設置されたことがあり、滑ったことがあります。結構スピードが出て楽しかったです。
ヴィトラ・シャウデポ
「Schau」(見る)「depot」(倉庫)
言葉は少し違いますが、Schaulagerとほぼ同じ意図を感じますね。
こちらも同じ建築事務所が設計していて、貴重なインテリアデザインのコレクションを見せる倉庫となっています。
地下にはイームズチェアなどが大量に棚に積まれています。
ガラス張りで覗き込むだけです。
オフィスを再現した場所もありました。(ガラス張り)
一階奥ではメキシコの建築家の特集企画が展示されていました。
1階の展示エリアでは、グラデーションになるように椅子が展示されておりました。
椅子っていうか、もはや彫刻…みたいなものもある。
ドーム
テントのドームがガーデンの向こうに見えます。
明るいのですが、もうこの時点で17時半過ぎなんですよね。
実はバーゼルの街中から40分ぐらいかけて自転車で来たので、結構もうヘトヘトだったのです。ちょっと、近づいてよく見る体力がもうありませんでした。
デザインの道標
自転車で来た人も、トラムで来た人も最後まで楽しめるのがコレです。
自転車に乗りながら適当に撮ったのでちゃんと写っていませんが、中にミニチュアの椅子のオブジェが入っているんです。可愛い〜!欲しくなる〜!道沿いにこの小さな展示室が何個も設置されています。来る時も帰る時もこの標に沿って行くとトラム駅とヴィトラの間を楽しく行き来できますよ〜!
しかし、vitraのミニチュア名椅子シリーズ、どれもうん万円以上のお値段でびびる。本物はいくらなんですか…。
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