なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

バイエラー財団美術館 Fondation Beyeler

 

 

バイエラー夫婦の美術館

バーゼル郊外にあるバイエラー財団美術館はバーゼルに来たら絶対行けと言われる美術館の一つです。元々アートディーラーだったバイエラー夫妻が蒐集した世界の名品が250点以上コレクションされているそうです。美術館建築は、ポンピドゥーセンター、関西国際空港を手掛けたレンゾ・ピアノによるもの。あの関空の中のピンクみたいな色好きじゃないけど、屋根の構造とか関空もかっこいいな〜って思う瞬間ありますね〜。

 

さて、この美術館建築は、本当に美術展示のために設計されていて、すごく良かったです。

外観はそんなに派手じゃないんですけど、中に入った時の心地よさがたまりません。

 

展示室の真ん中によくベンチが置いてあることがありますが、ここはあまり展示室に置いておらず、建物の外を眺めることができる場所にたくさんベンチやソファが置いてあります。

関連書籍もあったりしてゆったりしています。

 

郊外の緑豊かな風景に癒されます。


庭に面しているベンチも。ちょっと怖い噴水彫刻が見えます。

こういう場所が各所にあって、ぐるぐる回遊しながら時々休んだりできます。

 

お庭には彫刻作品がいくつかあるだけでなく、可愛い建物のレストランなどもあります。

 

コレクション展

入場料は25CHF。企画展も含む値段ですが、円安も手伝って約3300円です。

残念ながらスイストラベルパス、ミュージアムパスは使えません。

 

ピカソ、ルソー、モネ、ゴッホセザンヌジャコメッティ、ロスコ、リヒターなど。印象派から近現代アート中心のコレクションは名作揃いです。

 

今、一番はじめにお出迎えしてくれるのはこの作品

アンリ・ルソー『飢えたライオン』Le lion ayant faim se jette sur l'antilope

縦2メートル、横3メートルの巨大ルソー…。迫力。かもしか…には見えないけれど、怯えて血の気が引いて目から光が消えていくような感じはします。あ、モデルは博物館の剥製だからライオンも死んでたと思いますけど。

この絵はミュージアムショップの目の前なのですが、長いソファがあって、多くの人がくつろいでいました。

 

さて展示室ですが、「嘘でしょ?」って思うぐらい贅沢な空間使いです。

モネ『ルーアンの大聖堂』

ん?これってバーネット・ニューマンだっけ?

部屋広すぎて絵が小さく見える。

 

ベーコンの部屋

モネの大聖堂の絵が贅沢な空間を使っていてびっくりした後に、壁一面埋める勢いの巨大睡蓮が登場しました。

もはや、なんじゃこれ状態。モネが描いたのは本当にただの『睡蓮』なの?

とにかく巨大なモネの『睡蓮』

同じ部屋の向かい側にはゲルハルト・リヒターの作品がずらり。

モネの向かいにリヒター!

絵具を引きずったようなリヒターらしい作品も置いていましたが、写真を撮り忘れたみたい。

リヒターは現代アートの生きる巨匠(今年90歳)ですが、ゴテゴテの絵具の具合とか、目の前にモネがあると、ついつい比べてしまうし、なんだかモネの凄さが際立ってしまう。

 

モネXリヒターの組み合わせは最近よく見かけるような気がします。誰か有名な評論家が何か言及したんでしょうか?

とにかく同じ部屋にこの組み合わせがあるのはしびれました。

 

コレクション展では、ゴヤの『戦争の惨禍』の版画シリーズもありました。

ゴヤ『戦争の惨禍』

ゴヤが目撃した戦争のリアルな悲劇が描かれています。横の解説文ではキュレーターからの言葉で、ウクライナ侵攻に反対するということが書かれていました。

 

特別企画展『ジョージア・オキーフ

なんとなく、女性アーティストの展示をよく見る気がします。

何度も展示されている男性アーティストよりも、大回顧展の機会がこれまで少なかった女性アーティストの方が目新しさがあるのかもしれませんし、ジェンダー平等を意識したときに女性アーティストを選んだのかもしれません。

花を拡大した作品で有名ですよね。

山の絵もたくさん。

オキーフの作品がたくさん見られるだけでなく、その一生や人柄も見えてくるような展示でした。

 

 

 

次の展示はモンドリアン

6月からモンドリアンの展示が始まるそうです。

うわ〜〜〜〜、見たい〜〜〜〜。もう一度25CHF払うの?きつぅ〜〜〜〜。

 

でもバイエラー財団ではモンドリアンの研究もしているっぽいのです。

モンドリアンは木などの自然物を描いているうちにだんだん要素が凝縮されてあのモダンな絵画になっていったという謎のアプローチで現代アートになっていった謎アーティスト。

絶対面白いじゃん。

 

そんなこんなんで、やはりバーゼルは少数の金持ちのおかげで現代アートの街になっていることを実感できる美術館でした。周りものんびりした風景が広がっていて素晴らしいです。

ドイツとの国境、ヴァイス川を越えながら1時間くらい歩けばヴィトラ・デザイン・ミュージアムです。丸一日使ってアート・デザイン三昧もいいと思いますよ〜。

www.fondationbeyeler.ch

 

【聖地】ヴィトラ・デザイン・ミュージアム Vitra Design Museum

 

ヴィトラ・キャンパス

バーゼルで建築巡りをしようという人が、必ず足を運びたい場所、それがヴィトラ・デザイン・ミュージアムです。正確にはスイスのバーゼルではなく、国境を越えてドイツ領のヴァイル・アム・ラインにあります。ここにはインテリア業界で世界屈指のブランド、ヴィトラVitra社の工場施設があり、その敷地一体をヴィトラ・キャンパスと呼び、ミュージアムなどが併設されています。

 

ちょっと待って!

ミュージアム「など」とは…

 

・フランク・ゲーリーミュージアム

安藤忠雄セミナー・ハウス

・ザハ・ハディッドの消防署

・アルヴァロ・シーザの工場

・ジャン・プルーヴェのガソリン・スタンド

・カールステン・フラーの滑り台

リチャード・バックミンスター・フラーのドーム・テント

ヘルツォーク・ド・ムーロンの複合施設Vitra Hausと、イームズをはじめとするインテリアのコレクションが展示されるVitra Schaudepot

 

など。

 

そうです。ここは建築パラダイス。建築ファンにとっては建築の聖地とも言える場所です。

どんな建築があるか、詳しくは公式サイトをご覧ください。写真付きで見ることができます。

www.design-museum.de

 

もちろん工場など見れない部分はありますが、有料で入れる展示と、ショップやカフェ、ガーデンもあって一日たっぶり過ごすことができます。私が行った時も祝日だったため、多くの人が訪れていました。車で行くのが一番楽ですが、バーゼル駅でトラム8番に乗って終点から歩くのもアリだし、時間があるならバイエラー財団美術館に行ってから、ウォーキングも良さそう。郊外なので気持ちいいし、良い運動になると思います。徒歩50〜60分くらい。

では、主な見どころを紹介します!

 

ヴィトラ・デザイン・ミュージアム

Vitra Design Museum:Frank Gehry

中では特別展が開催されていました。「Plastic : Remaking Our World」展。プラスチックをテーマにした展示です。私たちの生活を便利にしてくれるプラスチックですが、同時に海洋ゴミなど、深刻な問題も引き起こしています。プラスチックの歴史と、これからの解決方法を模索する試みを展示する内容になっています。

 

 

ゴミで溢れる廃棄場や海など、多少ショッキングな映像も出てきますが、ほぼ人間が映らないので、あまり感情的にならずに済むようになっていたかと思います。日本も資源ごみの処理を海外に押し付けていたりする現実があるので、現状の問題は大変複雑なことはわかっていますが、この展示では社会問題には大きく触れず、素材から解決策へ導く可能性と方法を展示する内容だったと思います。このあたりがデザインの良さでもあり、ずるい所でもあるな、と思ってしまいました。なんか、デザインやっている人はカッコよく見えるし正義っぽい。泥臭い部分は他に押し付けているようにも感じてしまうんですよね。

 

とは言え、やはり、デザインができることを示すことには意味があります。プラスチックを生み出してしまったのは先進国です。環境負荷の低い素材を研究開発することはお金のかかることだけれども、率先して資金のある国や人、企業がすべきことでもあるなと思いました。プラスチックゴミで溢れる国やエリアを非難するのではなく、新しい方法を提案し、実行し続けること、それが大事なんじゃないかと思いました。

 

新素材の開発やプラスチックのリサイクルの展示は、触ってみたい気持ちを抑えるのがとても大変でした。

 

ミュージアムの前には、展示でも紹介されていた、一目で水が出そうとわかる給水機がありました。

My水筒に水を汲むことができる

スイスは水が綺麗で豊富なので、街のあちこちに噴水があります。これは鑑賞用として作られたものではなく、元々は生活用水の為なのだと思いますが、今でも普通に飲めるようです。

水槽ではなく蛇口の方から水を水筒に入れて飲んでいる人を見かけることもあるので、大丈夫。

 

外から見た奇抜感と中の様子はなんだか少し違います。

意外に大人しいというか…。ちゃんとホワイトキューブな感じの展示室でした。

螺旋階段がいいですね。

建物も裏側から見ると丸みのある場所は階段なんだな、と納得です。意外に機能的な作りなのかも。

不思議な建物でした!

 

ヴィトラハウス

わー!イームスチェアが観覧車みたいに回ってる!!

VitraHaus :Herzog & de Meuron


ここは無料で入れる施設で、カフェ、ショップ、子どもたちの遊び場などがあります。

オーダーメイドで椅子が作れるショップ

そのショップの外壁はベンチになっている

ショップにも可愛いものがたくさんあって、欲しくなりました。値段表記がわかりにくく、いくらなのか結局わからなかったものもあり、買わなかったですが、見ているだけでも楽しいです。


ヴィトラ・スライド・タワー

Vitra Slide Tower : Carsten Höller

楽しい滑り台!安全のため、布の袋のようなソリで滑ります。そのままだとお尻が焼けてしまいますよね。今回は子どもたちが楽しんでいたので滑りませんでしたが、一度ロンドンのテートモダンにフラーの滑り台が設置されたことがあり、滑ったことがあります。結構スピードが出て楽しかったです。

ヴィトラ・シャウデポ

Vitra Schaudepot : Herzog & de Meuron

「Schau」(見る)「depot」(倉庫)

言葉は少し違いますが、Schaulagerとほぼ同じ意図を感じますね。

 


こちらも同じ建築事務所が設計していて、貴重なインテリアデザインのコレクションを見せる倉庫となっています。

 

地下にはイームズチェアなどが大量に棚に積まれています。

ガラス張りで覗き込むだけです。

 

オフィスを再現した場所もありました。(ガラス張り)

イームズ・オフィス

一階奥ではメキシコの建築家の特集企画が展示されていました。

1階の展示エリアでは、グラデーションになるように椅子が展示されておりました。

 

椅子っていうか、もはや彫刻…みたいなものもある。

 

ドーム

テントのドームがガーデンの向こうに見えます。

Dome : Richard Buckminster Fuller

明るいのですが、もうこの時点で17時半過ぎなんですよね。

実はバーゼルの街中から40分ぐらいかけて自転車で来たので、結構もうヘトヘトだったのです。ちょっと、近づいてよく見る体力がもうありませんでした。

 

デザインの道標

自転車で来た人も、トラムで来た人も最後まで楽しめるのがコレです。

Vitra Designweg : Ronan and Erwan Bouroullec

自転車に乗りながら適当に撮ったのでちゃんと写っていませんが、中にミニチュアの椅子のオブジェが入っているんです。可愛い〜!欲しくなる〜!道沿いにこの小さな展示室が何個も設置されています。来る時も帰る時もこの標に沿って行くとトラム駅とヴィトラの間を楽しく行き来できますよ〜!

 

しかし、vitraのミニチュア名椅子シリーズ、どれもうん万円以上のお値段でびびる。本物はいくらなんですか…。


 

【巨匠のステンドグラス】チューリヒ・二つのミュンスター


チューリヒ旧市街エリアに、ミュンスター橋を挟んで二つのミュンスターが建っています。

フラウミュンスター(Fraumünster)とグロースミュンスター(Grossmünster)です。

フラウ・ミュンスター

グロース・ミュンスター

どちらも立派です。

この二つのミュンスターでは、ちょっと珍しいステンドグラスを見ることができます。

 

フラウミュンスター

フラウミュンスターは入場するのに5スイスフラン

中はシンプルな装飾ですが、奥の縦長の5つのステンドグラスの窓はシャガールが描いたもの1970年作だそうです。建物が中世のゴシック様式なので、ちょっとびっくりする組み合わせですね。

シャガールのステンドグラス

 

色づかいもシャガールらしさが出ていていいですね。

ステンドグラスは写真に撮るの難しい。

 

どういう経緯でシャガールが制作することになったのかわからないですが、

制作謝礼費はたった1組のご夫婦が払ったそうです。スイスはお金持ちが芸術を支えているとわかるエピソードですね。

シャガールのバラ窓

天井にはカラフルな星々が描かれています。一つだけ金色の星がありました。かの有名なベツレヘムの星を表しているのでしょうか。

 

また1940年製、ジャコメッティの9mステンドグラスもあります。

ジャコメッティのステンドグラス

この教会では地下に小さな展示室があり、地下空間の様子や関連資料を見られるようになっていました。

 

グロースミュンスター

こちらは塔に登るのは有料ですが、普通に入る分には無料です。ただし、写真撮影は禁止。中にはフラウミュンスターのデジャブかと思うようなジャコメッティのステンドグラスが。ジャコメッティのステンドグラスはちょっと暗くて何描いているのかわかりにくい。ジャコメッティの作品はかっこいいと思うけど、果たしてステンドグラス向きか…!?

私は明るいステンドグラスの方が好きかもしれない。

 

このミュンスターの面白いところはジャコメッティ以外もたくさんのアーティストがステンドグラスに参加していること。絵本のようにかわいいものもありました。

 

印象的だったのが、宝石のような鉱石をスライスした断面をつなげてステンドグラス窓にしていたこと。

 

Wikipediaに写真があったのでぜひ見てください。とても綺麗。自然系の博物館にありそうだけど、教会で見るとまた違った印象です。

en.wikipedia.org

グロースミュンスターは外部の装飾がユニークでかっこいいので、じっくり見ると楽しいと思います。

 

ダダが生まれた街

教会でも近代アートが楽しめるチューリヒは、やはりアートの街と言っていいですね!

中でも前衛芸術運動ダダイズムが生まれた街として特筆すべきかもしれません。トリスタン・ツァラハンス・アルプらダダの拠点として多くの人が集まったそうです。キャバレー・ヴォルテールがその場所ですが、今は取り壊されたかでありません。

 

ネオ・ダダと名乗る人たちのムーブメントでキャバレー・ヴォルテールはカフェ・バー&アートスペースとして復活したようです。

キャバレー・ヴォルテール

今回は入らなかったので、中の様子をお伝えできませんが、賑やかなエリアにあるので、観光の時にちょっと立ち寄ってみることもできます。ダダ好きの方はぜひ。

 

え?ウルトラ怪獣

いませんよ。

 

(名前はダダイズムから取ったらしいけど)

チューリヒ美術館 Kunsthaus Zürich

 

ロダン地獄の門

玄関ではロダンの『地獄の門』がお出迎え。

スイス出身アーティストの作品が超充実。

ジャコメッティはその一生がわかるくらい見ることができます。

 

また、特別企画展のレベルも高い。

近年新館が建って、とんでもない規模になっています。

www.kunsthaus.ch

 

注意するべきは、ほとんどの美術館で使えるミュージアム・パスがここでは使えないってことです。スイス・トラベルパスもミュージアムパスが付いているものは同じだと思うので使えないはず。窓口で一応確認するといいと思います。

 

私の場合、知らずに行ってミュージアム・パス見せたら「ごめんね。使えないよ」と。

しゃーないか〜、と値段見てびっくり。

常設展が23スイスフラン、企画展を含む全ての展示の場合、29スイスフラン

3000円超えですやん!企画展も入れたら約4000円。円安勘弁して。

まさか玄関の地獄の門ってそういうこと!?

 

オーディオガイドも含むお値段らしいので借りるといいかも。

時間がたっぷりあるなら全館見れるチケットが完全にお得です。

 

水曜入場無料らしいです。ぜひ!

 

本館

コレクションの数、質と共に最高レベルです。度肝を抜かれました。

 

こちらは五郎さんが、「レンブラントは落ちぶれてからがいい説」を紹介していた闇落ちレンブラントです。

youtube解説動画見始めてから、かなり西洋美術楽しいです。

 

こちらはムンクの部屋。

ここにあるムンクの中では有名な絵とは言えないかもしれませんけど、すごいオーラがありました。

こんなサラッと描いているようで、どういうことなんだ…。すごい。

 

 

セザンヌ

腕長ーい。

変!変なのに「あ、セザンヌ!」と振り返っちゃう。

 

 

やばい。「俺たちのドガ」やん。

当時の観客はあまりのドガの変態性にドン引きだったというドガの彫刻です。

バレリーナの少女の体を作って、チュチュを着せてあげているんですよね。

オリジナルはもっとやばいって話です。

 

晩年のアトリエで作っていた彫刻シリーズは、親族も「こんなの見せられるかー!!」と思うぐらいやばかったそうです。五郎さんのyoutube動画でも人気のドガ回ですが、日本人の変態性と何か通じるものがあるんでしょうね…。

 

ピカソ

キュビズムスタイルで描いた静物画。ピカソにしては珍しく花描いているな〜、それにしても花、キュビズムにすると可愛くないな〜。と気になっていた作品です。ここにあったのね。

 

 

ゴッホ

ゴッホは必ず写真スポットになっていますよね。

 

ルソー

味わい深い。。。

 

 

20世期エリアは建物の雰囲気もグッと変わり、ティンゲリージャコメッティなどのスイス出身アーティストを中心にウォーホールや、ホックニー、ハミルトンなどが並んでいました。

 

二つの建物を結ぶ地下通路

地下を結ぶ通路にもアート作品が展示されています。

 

階段入口にはローレンス・ウィナーの「OVER &ABOVE」

本館側の階段

新館側の階段

そして通路の天井にはオラファー・エリアソン


これは大理石でできています。過去にオラファーが北極からでかい氷の塊を運んできて、都市のど真ん中に設置し、溶けて行く様子を作品にしたことがありました。その時に溶け切る前の氷を3Dスキャンし、彫刻にしたとのことです。

 

「なくなってしまうアートか…」と、実際には見てないけど寂しい気持ちになったものですが、こうやって現金化されるわけですね。オラファー、、、環境活動家ビジネスマンに見えてきた…。

 

新館

新館にも常設展はあるのですが!携帯のバッテリーピンチであまり撮れませんでした。

 

そして全部は回りきれませんでした。

 

時間切れで追い出されました。

 

企画展

新館ではYOKO ONOオノ・ヨーコ展が開催中でした。

作品自体は、服を切ってもらうパフォーマンスビデオなど、過去のもの中心でしたが、一階の吹き抜けの壁にこのメッセージアートです。

この一言アートも何回も見たことがあるかと思いますが、「love, yoko 2022」と西暦が入ってくることで受け取り方が変わりますね。

 

ウクライナ侵攻に対する反応が早いなと感じます。オノ・ヨーコだけでなく、美術館側も含めてそう思います。

 

それがよくわかるのがもう一つの企画展でした。

こちらは本館で開催されていた、「アートと医学」をテーマにした展示です。

中世の感染症を描いた版画作品から現代アートに至るまで、多岐に渡る作品を展示していました。パンデミックの中で作られたという作品もありました。

 

いやあ、とても良い美術館で大変満足しました。

世界の有名な美術館・博物館を見ていると「略奪ですか?そうですよね?」みたいな名品・名画がいっぱいあったりするのですが、そういう嫌な感じがないのも好感が持てました。

 

混んでない、というのも良かったです。

先日パリのルーブル美術館に行った人が写真を見せてくれましたが、モナ・リザの前、写真を撮りたい人でごった返して大変なことになっていました。まあ、モナ・リザ人気は特別ですけど。笑

 

スイス国立博物館(チューリッヒ)

チューリッヒは美術館・博物館の宝庫

見に行きたい場所がいっぱい!美術館・博物館だけでも多いのにギャラリースペースやアートスペースも合わせるときっととんでもない数になりますね。メジャーな観光地を中心に少しずつ紹介したいと思います。

 

まずは国立博物館

 

スイス国立博物館 Landesmuseum

www.landesmuseum.ch

駅降りてすぐ、裏側と言っていいのだと思いますが、景色的には表なんじゃと思うぐらい、立派な建物です。もはや城です。塔の両脇の蔓性の植物は藤だと思います。

4月に来ていたらとんでもない藤の花の柱が見れたはず。5月はバラですね。バラ園行きたいです。

 

国立博物館の中庭。とにかく建物が立派で唖然とします。

 

軒下の装飾は、エーデルワイスや、山羊、熊、大きい角を持つアイベックスなど、スイスゆかりの動植物が描かれています。

 

 

塔の下に置かれたアンティークな馬車

新館はコンクリの打ちっぱなし。意外に色味は馴染んでますね。

モダンな新館

新館の中の階段

チケット売り場で地下のロッカーに荷物を入れるよう言われました。かなりの数のロッカーが並んでいて、多分観光客や課外授業などでかなりの人数来ることを想定しているのだと思います。

ロッカーは、日本と同じようにコインを入れて鍵を閉めるタイプでしたが、専用コインを貸してくれました。かわいい。こんな記念に持って帰りたくなるようなデザインで大丈夫か?スイスだから大丈夫なのかな?信頼で成り立っている国です。

ロッカーのコイン

展示物はスイスの成り立ちから現代の企画展まで盛り沢山。

小学生ぐらいの課外授業や中学生ぐらいの子たちもいました。

 

綺麗な監視員のお姉さん?

 

きゃあ!リアルなお人形!


横に槍が立てかけてありますね。現代版Helvetia(ヘルベチア)というわけです。

Helvetiaはラテン語でいうスイス地方のこと。国の象徴としてこの女神が描かれることがあるらしい。コインの絵柄にもなっています。

Helvetiaと言えばですが、Helveticaというフォントがあるのを知っている方もいると思います。このフォントはスイス生まれなのだそうです。

 

このエリアでは、デジタルアニメーションなどで、EUのことや、女性参政権導入がスイスはとても遅かったことなどが子どもでもわかりやすく理解できるよう工夫されていました。

 

スイスの歴史だけでなく、「森」をテーマにした企画展、現代のプレス写真アワード、など盛り沢山の博物館です。

「森」をテーマにした「Im Wald」展

 

部屋ごと丸々展示。それは壁なの?箪笥なの?

寄せ木づくりと彫りでとんでもないことになってます。

 

これがスイスの典型的なベッドルームだと!?可愛すぎる。一泊したい。

 

エーデルワイス自体は見たことないけど、エーデルワイスの図案はあちこちにあります。特に観光を意識したプロダクトにはマストデザイン。

 

 

時計や香水瓶になっている指輪!

 

ハイジはスイス人にもよく知られたアニメ。あまりにもスイスで、スイス人が作ったアニメだと思っている人が多い。

 

スイスプレスアワード2022の展示では報道写真系の写真と解説文があり、スイスの色んな側面が見れて大変勉強になりました。

 

採石場拡大に全裸で抗議する自然保護団体

プーチンとバイデンの間に立つスイス首相

・女性の投票

同性結婚

などなど、興味深い内容のものがたくさん。

 

その中で特に驚いたのが、アッペンチェルの子どもがお祭りの日には喫煙が認められているというものです。博物館で展示されていた写真は2021年撮影とのことでした。報道写真エリアは著作権がありそうなので写真はありませんが、お祭りと喫煙について、詳しいことがこちらの記事にもあったので、是非読んでみてください。

https://www.swissinfo.ch/jpn/カルチャーショック_スイスの祭り-牛追い-で6歳児が喫煙/41721336

 

アッペンチェルは特に女性参政権が遅れた超保守的な村。

 

記事では「子どもたち」としか書いていないのでエビデンスはないのですが、喫煙しているのは男の子だけのようです。

 

スイス国立博物館感想

スイスのことを知りたかったらまずここ!と言っていい素晴らしい博物館でした。

しかし、博物館のフロアマップが異常にわかりにくい。そのせいか、見落としエリアがあったっぽいです。後で気付きました。むむ。事前におすすめの順路を聞いておくといいと思います。迷っても監視スタッフの人たちも聞けば大丈夫。私が行った日はめちゃくちゃ暇そうなエリアが多くて、こっそり本を持ち込んでいる人もいるくらい、スタッフさんも辛そうでした。「この上もまだ展示ある?」とか聞くとすごく嬉しそうに説明してくれました。

 

ミュージアムショップがとても充実していて、スイスらしいデザインのものもたくさんありました。日本でも人気のFREITAGのカバンやお財布なども大きいものも置いていてすごくかっこよかったです。4万円くらいしていてびっくりしましたが、日本で買うよりはずっと安いのでしょうか?

チューリッヒの駅から近いので、ちょっとお洒落なお土産探すのにもいいですね!

Pavillon Le Corbusier ル・コルビュジエ・パビリオン(チューリッヒ)

チューリッヒは見どころいっぱいですが、建築やデザインが大好きな人なら行ってみたい場所の一つが、コルビュジェ建築ではないでしょうか。

 

私は建築は全然勉強していないので詳しくはわかりませんけど、建築にピロティ作った人です。あと黒くて四角いソファー椅子が有名ですよね。プロダクトデザインもするし絵も描くのです。

身近なコルビュジエ建築と言えば、国立西洋美術館の建物です。コルビュジエ世界遺産の一つに選ばれたことで話題になりました。

 

いつかロンシャンの礼拝堂には行ってみたいと思っているので、事前勉強になるかなと思いチューリッヒのルコルビュジエパビリオンに行くことにしました。知らなかったけどコルビュジエはスイス生まれなんだそうです。

 

行き方

駅から4番トラムで行くと10分ぐらいでHöschgasse下車です。

私は良い天気だったこともあり、ぶらぶら歩いて行くことにしました。結構歩くのでお勧めはしませんけど、一応チューリッヒの観光マップには徒歩想定と思われるオススメルートに入っていました。

オペラハウスあたりからチューリッヒ湖沿いの遊歩道が続いていて、多くの人が湖で泳いだり、日光浴を楽しんでいたりしました。

ヨーロッパではおばあちゃんでも水着で夏を楽しむ風景が見られます。

 

スイスの中では大都市のチューリッヒと言えど、湖がこの透明度。

1日の仕事が終わったら湖でひと泳ぎできるのです。すごい街ですね。

しかし、チューリッヒは世界でも屈指の家賃が高い街ですから、高収入の仕事がないとなかなか住めないと言われています。

 

ル・コルビュジエ・パビリオン

到着しました!カラフルな外観なので目立ちますね〜!

モンドリアンとは何らかの関係があるのか?それとも時代の流行なのか…と考えてしまいましたが、ネット検索では何の答えもありませんでした。ま、見る人が見れば別物でしょうけど。

 

ここはミュージアム・パスが使えます。もしくは12CHF。

季節によっては閉館していたりしますし、開いていても12時からと遅い開館なので、ちょっと中心街から離れていることもあり事前の計画が必要ですね。

 

中はモダンな住宅のようなコンパクトな建物。

キッチンはオール電化かな?

 

コルビュジエと言えば、この黒くて四角いソファー椅子が有名ですよね!

 

吹き抜けで明るい!壁の写真は屋上の様子です。

 

階段もほどよく光を取り込んでいてかっこいい。

この階段か、スロープで屋上に行くことができます。(悪天候の時は行けません)

屋上への入り口(スロープ)

この丸い扉のせいで、ユニバーサルデザインとは言い難いですけど、階段使ったりスロープ使ったりと気分を変えられるのは遊具みたいで面白いな、と思います。

 

屋上の様子

 

地下のスペースは主に写真や映像の展示スペースでしたが、ここは元は書斎スペースでしょうか。天窓から光が差していて、心地良いし、集中できそうです。

 

1階の庭につながる大きな扉には絵が描かれていて、忍者屋敷の壁のように可動するようです。

 

1階にセルフワークショップコーナーみたいなのがあって、スタンプでアートを作って楽しんだり、(これは入り口で販売もしてます)

 

ペーパークラフトや塗り絵も楽しめるようになっていました。

 

周りに塀とかはなく、湖までずっと芝生が広がっています。こうやって見ると芝生に面した窓は一面ガラスですね!

 

そんなに広くないけれど、長居してしまう、不思議な建築でした!

モダンデザイン好きの方にオススメです。

Museum Tinguely ティンゲリー美術館・バーゼル

スイスを代表する芸術家と言えば、誰でしょう。え?思いつかない?

私もです。

 

だんだんわかってきましたが、スイス人アーティストの代表格はジャコメッティですね。細長い人間の彫刻で有名。スイスの美術館の常設展ではどこかにジャコメッティがいるし、日本でも多くの美術館で見かけますが、チューリッヒ美術館には細長くなるに至るまでの多くの多くのコレクションがあるので見応えがありますよ!写真撮ってなかったなぁ。(あんまり撮るとバッテリーがなくなるので遠慮がち)

 

あれ?でもジャコメッティってパリで活動してなかった?

 

そしてベルン近郊生まれのパウル・クレー

ベルンにパウル・クレー・センターってのがあるので、次回ベルンに行ったら必ず立ち寄ろうと思います。

 

おや?クレーってミュンヘンとかにいなかったっけ?(ナチスの弾圧下に、スイスに帰省)

 

数々の素晴らしい美術館があり、アート・バーゼルという大規模アートフェアもあるスイスですが、どちらかというとコレクターとしての才が高いと言えるかもしれません。

あまり多くの有名芸術家の名を聞かないですよね。

 

さて、もう一人、スイスを代表するアーティストがいルのです。

ジャン・ティンゲリーです。

キネティック・アート。つまり動く彫刻の代表的なアーティストでもあります。

少し時代が近いので、ジャコメッティやクレーほどは日本では知られていないかと思いますが、バーゼルの美術学校出身ということもあって、バーゼルが生んだ芸術家としてスイスでは親しまれているようです。バーゼルにはティンゲリー美術館という巨大な美術館がライン川沿いにあります。

もちろんチューリッヒ美術館にもティンゲリー作品は収蔵されていますが、ティンゲリー美術館は子どもと行っても楽しい美術館。

 

そりゃそうです。

 

何と言っても作品が動くのですから!!

 

 
 
 
 
 
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動く作品には、足元にフットスイッチがありまして、踏むと一定時間動いてくれます。

ガッシャンガッシャンと金属的な機械音を響かせて、アート作品が動きます。

屈強でパワーと重さを感じる作品。でもどこかユーモアも潜んでいるような。それがティンゲリー作品の魅力なのでしょう。

 

一回動くと一定の時間お休みになります。

作品を大事にしつつ、観客を楽しませる仕組みですね!

 

広くて不思議な造りの建築はマリオ・ボッタ作。ワタリウム美術館の建築もこの人です。

なるほどー。何となく共通点感じるかも!

 

さて、これだけ多くのコレクション、どこから来ているかと言うと、一部はティンゲリーのフランス人妻、ニキ・ド・サンファルからの寄付です。

サンファルはかなりフェミニズムな思考から作品を制作するタイプなのだと思うのですが、男性的な作品イメージの強いティンゲリーと夫婦になるのは面白いですね。

共同作品もいくつかあるようですよ。

 

↓こちらはティンゲリー美術館の庭にあるサンファル作品。

日本ではその生き様が人気のようで、もちろん作品もどこかで見たことあるよね。

 

さて、この美術館のコレクションには、本命の大きな出所がありまして。

それがRocheです。Schaulagerの回でもチラッと名前を出しました。

世界的大手製薬会社Rocheです。

そう、このティンゲリー美術館の黒幕は、バーゼルのドー(dough)の一つ、Rocheなのです。

ご覧ください。ティンゲリー美術館のすぐ近くにそびえ立つ、スイスで一番高いビル、ロッシュタワー!!!!!!

まじでバーゼルのどこからでも見えるんじゃないかって言うツインタワー。

見る角度によって表情を変えるやばいビルディングです。

タワー1が178m、タワー2は205m 53階建。ロッシュの研究員らが働くのでしょうか。

 

こちらの建築、Schaulagerを手掛けた建築事務所ヘルツォーク・ド・ムーロン設計。

タワー2は出来立てホヤホヤです。プラン画像見たところ、タワー3も建てるらしいです。

この辺一帯がRoche帝国になるわけですね。なんかわからないけど想像を超える巨大な組織って怖いですね。

 

 

さて、ティンゲリー美術館はティンゲリー作品だけでなく、企画展もいろいろ開催しています。現代アートを楽しめると言う点でもティンゲリー美術館は訪れる価値がありますね。

 

セルフのコーヒーマシーンが置いてある休憩室はデスクにコンセントも設置してあって、自習室にもなりそう。過去の企画展のリストが壁に書いてあったりして、知ってるアーティストの名前を探したりしました。

 

家族連れが多い美術館と言うこともあってか、ミュージアムショップはおしゃれで楽しいおもちゃや、絵本などが充実していました!

 

是非、バーゼルに滞在の時は訪れてみてください!