今週のお題「人生最大の危機」
1ヶ月だけの語学留学でイギリス、ロンドンZONE3にあるとある町に滞在した時のことです。ホームステイとは名ばかりの、間貸しシステムが一般的なイギリス。
オーストラリアやアメリカの家庭的なホームステイをイメージしてたら痛い目に合います。とにかく放ったらかし。「ご飯は冷蔵庫に入っているからね」←劇的に不味い。
まだ何もわからないまま、ちょっとだけ栄えている駅前へ行こうと、バス停でバスを待っていました。どれに乗っても駅まで行くはず。日本にもよくある屋根付きのベンチが設置されているタイプのやつです。
ところが、待てども待てどもバスは来ず。
っていうか、通り過ぎてない?
途方に暮れていると、強面の(フーリガンみたいな雰囲気の)おじさんが近づいてきて、何か話しかけてきました。ロンドン訛りがきつすぎでマジで何言ってんのかわかんない。
わかんないので、一方的に「私、バス待つ、駅、駅、バスこない」みたいなカタコト英語で返す私。
やっぱり何か言ってくるけど、全くわからない。
「バスは来ないよ」と言っているような気がする。
おじさん諦めたようで、「乗れ」と自分の車を指差す。
「ノーノー。」と返してみるけど、「駅だな?」みたいな感じで、流されて乗ってしまう私。
ああ、やばい。
このまま、どこかに連れてかれて、身ぐるみ剥がされて、殺されても文句は言えない。車に乗らないなんて自己防犯の基本中の基本じゃないか。
最悪止まった瞬間にドアを開けて飛び降りるとか、ああ、バカバカ。もうダメだ。人生最大のピンチ。1ヶ月の滞在の為にわざわざ携帯電話を買うような時代でもなく、ネットだってイギリスはダイヤル回線の時代。図書館に行かないとメールも送れないような状況で、私が消えたことに気づいてもらえるのは一体いつだろう。1ヶ月後なる子が帰って来ないことに焦った両親が警察に捜索願を出して、発見された日本人女性と思われる遺体をDNA鑑定するんだ。
「駅だ。」
…めっちゃいい人だった!!
「ありがとう!親切な人!!ありがとう!!」
そうお礼を言うと、何か言ってきたけど、訛りがひどすぎてわからない。
困った顔をすると、新聞紙の端っこにペンで書いてくれた。
そこには、こう書かれていた。
「知らない人の車に乗っちゃダメだよ。」
いや、マジで、本当にそう。
最後のはイギリス人らしいジョークだったのかな。おじさんいい人で助かった。
生活に慣れてくると、バスが停まってくれなかった理由がわかったのだけれど、私が待っていた場所は使われなくなったバス停の残骸で、本当のバス停の目印が外されていたのです。もう少し歩けば、新しいバス停がちゃんとあった、というオチ。
皆さんも、夏は旅に出るという方もいらっしゃるかと思いますが、冒険と無茶はほどほどに…。
屋根付きベンチがあろうとなかろうと…
こういうバス停の印がないとバスは停まってくれません。
バス停に立っていても、ヒッチハイクみたいな感じで横に手をあげておかないと利用者だと気づいてもらえず通り過ぎて行くこともあります。
慣れるとバスは楽しいよ。