WADDINGTON'S社の'SUM-IT' THE DECIMAL CURRENCY GAME
1968年版。箱はボロボロ。ジャンクショップで買いました。
中には2種類のカードゲームが入っていました。'SUM-IT'とWHOT。
もともとの持ち主がWHOTの箱を捨てて、この中に2種類のカードを入れたっぽいです。
'SUM-IT'とは
SUM…Excelの関数と言えばピンとくる方も多いでしょう。「和」「合計」みたいな意味です。The Decimal Currencyとは小数通貨のこと。
このゲームは1ポンドよりも小さな通貨の計算をしながら遊ぶ教育系カードゲームの一面があります。
オリジナルは1930年代(一説によると1935年頃)に発売されました。
↓こんな感じのパッケージデザイン。1933年、初めてエベレストの上を飛行機が飛んだその様子が絵になっています。
他のサイトから勝手に写真を持ってくるわけにはいかないので、絵に描いてみました。
実物が気になる方はV&Aのサイトなどをのぞいて見てください。
エベレスト山のデザインが、三角のシンプルなデザインに投影されているような気がします。
プレイ用のカード(背面三角デザイン)48枚とサムイットカード(背面まるデザイン)6枚が入っています。別々にしておきます。
プレイ用のカードには9p(ペンス)などの通貨が数字で書いてあります。
遊び方
2人〜4人向き
7枚ずつ配ります。
1枚ずつ、サムイットカードをもらいます。他の人に見えないように確認します。
「25p、£0.25」と書かれていたら7枚のカードの合計を25pにするのが目標です。
最初にスタートする人は8枚目をもらいます。残ったプレイカードは裏向けて真ん中へ。
↑マスターカードが入っています。書いてある数字のどれでも代わりができるオールマイティカードです。
一番初めに始める人は8枚持っているので、いらないカードを山の横におきます。そこが捨て山になります。
次の人は捨て山の一番上のカードか、裏返しの山から1枚取って、一枚捨てます。
マスターカードをうまく使い、目標の数値になりました!「SUM-IT」と宣言しましょう!周りの人にも間違っていないかしっかり確認してもらって、合っていたら勝ちです。間違っていたらゲームには戻れず、誰かのSUM-ITが成功するまで待ちます。持っていたカードがそのままペナルティスコアになります。
ゲームが終了し、負けた人は赤字の数字を足したスコアがペナルティポイントとなります。
最後にスコアが一番多くなってしまった人が負けになります。
ペナルティポイント「44」…痛い!
謎通貨Lsd
よく見ると、もう一つ赤字があります。
↓1pの下に(2 1/2D)
他のカードも…。
この数字、昔のイギリスのお金の数え方なのです。£s.d.(ポンド、シリング、ペンス)という通貨です。
計算の仕方が今と全然違うのです。
1ポンド=240ペンス、もしくは20シリング
1シリング=12ペンス
つまり、12pは、おおよそ2シリングと5ペンスであることがカードに書かれているのです。
1971年、イギリスでは流通通貨が完全に1ポンド100ペンスに変わりました。
シリングコインはなくなり5ペンスコインに取って変わられたのです。
自分で調べて書きながら、なるほど〜〜〜!!って感動しています。
イギリス文学やイギリスのコスチュームドラマ(時代劇)を見ながら、「シリングってなんやろ。昔の1銭(円より小さい単位)みたいなやつかな〜。」と思っていたけれど、ちょっと違いました。なぜ「月と6ペンス」なのか。12進法を取り入れて、1ポンドの銀貨を240のペニーに分けたことが始まりだったのですね。
12進法だと、3で割り切れるので、お金の単位としては便利かもしれないですね。3人で割り勘も簡単にできます。
イギリスのことが、ちょっと理解できたような気がします。単純に嬉しい。
(長さや重さの単位のことはまだやっぱり全然わからないですが。)
SUM-ITが生まれた1930年ごろはまだシリングが使われていた時代でした。
私が手に入れたカードは多分1970年代に販売していたもの。ちょうど新しい硬貨が発行されて、通貨の移行期だったということがわかりました。
ジャンクショップで偶然手に入れたカードからこんなに学ぶことがあるとは思いませんでした。
このゲームが楽しいかどうかはわからないけれど、必要だったんだろうな、ということが想像できます。
持っていた1ペニーコインを見てみると、NEW PENNYと書かれていました。今使っているペニー(単数形)ペンス(複数形)はNEW!新通貨なんだね!!