なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

時代を超えたアートのコラボレーション

モネとリヒター

もう3年近く前になりますが、バイエラー財団美術館で見た、巨大モネとリヒターの組み合わせが忘れられないんですよね。

 

モネの絵の具の質量たるや、ですよ。現代アーティストのリヒターの絵の具もりもりで引っ掻きましたって絵と同空間にいて、モネの凄さに圧倒された記憶があります。

(この凄さを伝えるための写真が足りないのよ。撮りたいものがありすぎて、バッテリー気にして撮り損ねているのよ。)

 

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とある方に聞いたところ、バイエラー財団美術館は、もともと時代やジャンルでアートを並べるのではなく、例えば近代絵画と民族的なオブジェなどを同じ空間に設置するなど、共鳴し合うものを選び取るのが、とても上手なんだそうです。

 

私がバイエラーで衝撃を受けていた頃、日本でも「モネからリヒターへ」という企画がポーラ美術館で開催されていました。時代を超えて共有する文脈のようなものを、美術館もアーティストも、鑑賞者も発見して楽しめる、そういうのっていいよなあ〜って思います。

 

 



(まあ、楽しむには多少の知識はないとですが。野球観戦もルール知らないのと同じだよね、と知人が言っていて、すごく合点がいきました。ぜひ、山田五郎さんのYoutube見てください。)

 

アーティゾン美術館 ジャム・セッション

 

こういった企画展示は美術館学芸員が仕掛けることが多いのでしょうけれど、この数年、アーティゾン美術館が企画している「ジャム・セッション」シリーズが私、大好きなのです。

https://www.artizon.museum/

過去2つの投稿でもご紹介しました。

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森村泰昌さんはもともと、名画に扮装することで、画家の視点や制作の背景などを考察するスタイルのアーティストです。アーティゾン所蔵の青木繁作品を深掘りしながら、近代洋画史を通して、日本の近代史にも迫る展示がとても印象に残っています。

 

山口晃さんは、画家としても超絶テクニックを持っている作家ですが、セザンヌ雪舟をなぞりながら楽しんでいるような、今思えば、森村さん同様、選んだ作品と向き合っているなと感じました。

 

というのも、今回の毛利悠子さんの展示では、アーティスト側からの言及は展示の中ではなく、むしろ観客側がそれを見出し考察することができるような構成だったからです。

バイエラー財団美術館で見た「モネとリヒター」を同時に鑑賞した感覚に近いかもしれません。

 

展示のエントランスではフルーツに電極を刺した作品があります。電流の変化で音と光が反応するメディアアートです。

この作品を通り過ぎると、ジョルジュ・ブラック静物画があります。毛利さんのメディア・アートは、西洋美術史の定番であるフルーツの静物画とリンクしていることが、語らずともわかる仕組みです。

生のフルーツはケースの中で少しずつ傷んでいくでしょう。

その様は、まさにメメント・モリ

「現世とは、かくも儚い。死を思い、今日を生きよ。」です。

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また、こちらのコイルの作品の向こうにあるのはクレーの「数学的なヴィジョン」

なんとなく、線や点、カラフルなかわいい色味で幼児画っぽいイメージもあるクレーですが、クレーは音楽家の家庭に育ち、数学と音楽の深い関係についても知っていたし、それを絵画で表現しようと試みたというようなことを聞いたことがあります。

毛利さんの作品も音楽と幾何学、数学は大事な要素ですから、さらっとクレーと毛利さんの作品が共存していることが、とてもしっくりくるし、新しい発見でもあります。

 

 

こちらの波の音に反応してピアノ演奏する作品では、岩場の海を描いたモネの絵画があります。毛利さんの展覧会ポスターに使われている写真は、この絵のモデルになった場所を撮ったものです。毛利さん自身がこの場所を訪れて、思った以上に迫力のある崖っぷちだったそうで、画家と同じ場所に立って同じ景色を見た時のことを図録のインタビュー欄に書いてありました。機械仕掛けの作品が主なので、作品からは伝わりにくいアーティストとしての感情の部分が見えて、いいエピソードだなと思いました。

海っていいですよね。波の音、いいですよね。ピアノもいいよね…。

 

とまあ、こんな感じで、アーティストによってアーティゾンの所蔵品をどのように自身の展示と絡めていくかは色々だな〜、と楽しく鑑賞しました。

 

気をてらったメディア・アートというわけではなく、こうやって芸術を繋いでいるアーティストだからこそ、評価も高いんじゃないかな、と思いました。

毛利悠子さんはヴェネチアビエンナーレで日本館で展示し、海外での活躍も華々しい作家です。

 

アーティゾン美術館は、所蔵品が膨大でいいものがたくさん展示されているので、とてもおすすめ。

同時開催の企画展があと二つもあって、ギリシャの赤絵黒絵の壺(大量)とか、セザンヌの謎な人体デッサンとか見どころがたくさん。

 

オンラインチケットが安くてお得。

軒並み美術展の値上げが財布を直撃してくる中で、とても親切な価格設定。

ブリヂストン様、ありがと〜〜!