英国コンセプチュアルアーティスト、ライアン・ガンダー
ライアン・ガンダーは時代と日常をユーモアある視点で切り取り、オブジェやインスタレーションなどで制作するコンセプチュアルアーティストです。
コロナで延期となっていた大規模個展がついに開催中です。
平日でもそこそこ混雑していました。
展示を見に行った日の私は、朝からもやもやしていて、メンタル好調とは言えない感じでした。特に大きな理由のないストレスを感じることってありませんか?
人によってストレス解消法は違うと思いますが、私の場合はそういう時に美術館やギャラリーに行くようにしています。友達に会って喋るのも私にとってとても有効な方法ですが、人に会うべきコンディションじゃないな、という時もあり、一人でも気軽に行ける美術館は最高。
そして、ライアン・ガンダーの作品は、まさに日常で見落としていることにハッとさせられる、そんな面白さがあるのです。
気づけないからハンドアウトを手に鑑賞する
日常の中に潜む面白さになかなか気づけないなぁって思っています。
ネットでは日常の風景から面白いものを見つけて写真を投稿する人とかいますよね?
すごいな〜って思っています。
美術展なんだから、順路をたどっていけば作品にたどり着くだろうと普段なら思いますが、身軽になろうとロッカールームに行くと写真をパシャパシャ撮る女子が。
なんだろう、と思って見ると、とある一列のロッカーの中にそれぞれ石が置かれて鍵がかかっています。
う〜ん。これはカメラ女子がいなかったら気づかなかったかも!
というか、これは手強い。注意力散漫な私には厳しい展示だとここで悟りました。
解説と会場見取り図の入ったハンドアウトをもらって、一点一点確認しながら進むことに決めました。
このロッカールームにもありますが、床に張られた黒いテープのようなものは、航空券やカードなどのシルエットなのだそうです。
ちなみに私はこの後、入場チケットを床に落としたことに気づき、拾いに行くという愚行を晒しております。
こちらは、手をかざすとレシートが。
ランダムに座標が出てくる仕組み。
家に帰ってGoogle Mapで調べたところ、カナダの森の中でした。ネット上なのに遭難した気分。
「世界の人口が100人増加するのにかかる時間」など、さまざまな時間を「再生」する箱が並び、そのむこうの壁の額の上にはタバコの吸い殻を象った小さな彫刻が置かれています。銀で作られているそう。
ハンドアウトがないと絶対気づかない天井の風船(のレプリカ)
気づかないシリーズだわ。
帝国ホテルの古いマッチ。
床のコイン。(気づかん)
政府の公共広告風のポスター。
公共の物が、なんとなく社会を扇動する感じ、普段はとても気づきにくい。
他にもたくさん面白い作品がありましたが、一番最後に流れていたBBCの特番映像がつよつよでした。顔を火傷したインスタグラマー、ゲーム配信Youtuber、Twitter炎上コメディアン、テクノロジーから離れて暮らす女性、遺体の冷凍保存会社、などを訪ねながら、「時代」「自己」について考察する内容でした。
失礼なことを言ってくる人には「僕は僕のままで満足している」とピシャリと伝えるライアン。
SNSにどれだけ時間を取られているか。という警鐘もありました。
本当だ。これは良くない。感動した。この気持ちを伝えたい。SNSで。。。というダメダメな私はもう末期だとして…
約1時間ですが、見応え内容抜群にありました。会場だと日本語字幕が付いているのでわかりやすいです。
もしイギリス英語が得意だったらこちらでも見れます。