メイン会場の一つ、ジャルディーニには国別の展示パビリオンが並んでいます。
このパビリオン群は一時的なものではなく、何度も繰り返し使う為、しっかりとした建物になっています。
例えばこちらはスペイン館。シンプルな煉瓦造りがかっこいい。
一方、こちらは金ピカのハンガリー館。
そして、セントラルパビリオンという建物があり、こちらでは国別展示ではなく、ビエンナーレのキュレーターによる「Milk of Dream」が開催されていました。この特別展はもう一つのメイン会場アーセナーレにも続きます。
国別パビリオン
ここからはいくつかピックアップ
ベルギー館/フランシス・アリス「The Nature of the Game」
今回私が一番見たかった作品。2017年にはイラク館で展示をしたフランシス・アリスですが、ベルギー生まれという縁からでしょうか、ベルギー館での出展です。
パビリオンの中にはたくさんのモニターが、世界中の子どもたちの遊び(Game)を映し出しています。
音で虫を呼ぶ遊びをするサバンナの子どもたち。廃屋で鏡を使いながら、バトルごっこをする男の子たち。ひたすらにタイヤを転がし続ける子。縄跳び、カタツムリゲーム、、、など。
どんな状況下であっても、子どもたちの遊びに向かう好奇心やエネルギーは共通するものを感じます。フランシス・アリスは社会問題と日常を同時に捉える印象的な作品を多く発表しています。
世界には戦争や移民問題などがあります。またコロナで私たちの日常も変わってしまいました。そんな中、子どもたちの「遊び」の様子はずっと見ていられるし、癒されます。しかし、ふと、この子どもたちの「日常」の背景にあるものを考えた時、様々な課題に大人は直面するのではないでしょうか。
好きな作家ということで贔屓目が強めですが、良かったです。
ポーランド館/マウゴジャータ・ミルガ・タス
パッチワーク刺繍の作品でロマの生活を描いています。
ギリシャ館
ギリシャ館もロマをテーマにした作品で、VRで鑑賞するタイプでした。座席数が限られていて、すごい行列です。ロマ自体が日本で暮らす私にとっては遠い存在で、いまいちピンと来ませんでした。炎天下で待つことで疲れてしまい、VRは半分以上寝てしまった。。。
時間のない人はここはスキップして、もっと見たいところでじっくり過ごすことをお勧めします。
セルビア館/マリヤナ・コラリッチ
海とプールの映像作品
圧倒的な水量って良いですね。特にプールの作品でそう感じました。
ハンガリー館
韓国館
今回人気だったパビリオンの一つではないでしょうか。キネティックな作品ですが、色も変化させながら、うねうねと動く様子に目が離せなくなってしまいます。
アメリカ館/シモーネ・リー
スーパースター街道まっしぐらのシモーネ・リー!
シンボリックで巨大な女性像は、プリミティブかつモダンで美しいです。
アメリカ館では初めて黒人女性作家が選出されたそうです。
白人社会のアートプラットフォームとして存在し続けたビエンナーレに新しい風は吹いているのでしょうか。
シモーネ・リーは、個人で今年のビエンナーレの金獅子賞を受賞しています。
日本館/ダムタイプ
日本館は最近再評価されているっぽいダムタイプの展示でした。
ドット文字は懐かしくて、もはやデジタルではなくアナログ感さえありますよね。
隣の韓国館のインパクトも大きいせいか、印象に残りにくい展示でした。平成初期ぐらいにあった、各国から見た日本のSF感にも届かない。ちゃんとメッセージ読めば印象は変わったのかもしれないけれど、疲れて読む気になりませんでした。日本のパビリオンだからしっかり見たかったのだけれど。
世界のトレンドとしては、自国が置かれたシチュエーションであったり、自国内にあるマイノリティの存在にフォーカスしているものが多かった印象です。
とすれば、ジェンダーギャップランキング世界116位、アイヌ、沖縄、経済格差、政治の歪み、いくらでも切り込めるところはあるのに、アートに表出しない全体的な弱さがあるんだろうな。
そんなわけで各国に比べると若干物足りなさを感じました。
ウクライナ広場
特設された土嚢のモニュメント。戦火の耐えないウクライナで、実際にこのような積み上げられた土嚢があるそうです。街中に元々あるモニュメントを守ろうと土嚢で囲んでいるそうです。どれだけ効果があるのかわかりませんが、パブリックアート的なものを守りたいという気持ちが伝わりますね。
ロシア館
今回は参加辞退を表明したロシア館。覗き込むと見える放置された資材が寂しげ。
紹介したのは本当に一部のパビリオンです。
では、セントラルパビリオンについては次回!