無邪気な子どもたちからの残酷な質問
「せんせい、何歳?」
「こどもいる?」
「結婚してる?」
「どうして結婚しないの?」
何万回聞かれただろう、この質問。
上の3つまでは平気で答えられる。
けれど、最後のやつ。
「どうして」…って、ねえ。
どうしてでしょうね。
- 無邪気な子どもたちからの残酷な質問
- 子どもたちにとって、結婚する未来は当たり前すぎる
- 結婚しないのではなく、できない。(笑)現実はもっと残酷
- 子どもがいなくても子育て系のスキルをつけることはできる
- 「どうして結婚しないの?」の本当の呪いは同業者から
- おまけ
子どもたちにとって、結婚する未来は当たり前すぎる
父親と母親がいて、子どもが存在する。
父母と幸せに同居しているかどうかはさておき、子どもにとって、自分は母親から生まれ、母親はおばあちゃんから生まれ、おばあちゃんはひいおばあちゃんから生まれた。
この事実はとても大きい。
いつか好きな人と結婚して、子どもが生まれる、ということは、あまりにも当たり前のこととしてインプットされている。
当たり前のように脈々と受け継がれてきた命だけれど、過去には、子どもを産まず生を終えた人々もいるのである。
子どもはだいたいそのことに気づいていない。
しかし、自分が子どもを産まない女性になる可能性を、私は子どもの頃からなんとなく感じていた。
男女雇用機会均等法が制定され、女性の社会進出について取り上げられることが多かった子ども時代。
負けず嫌いな性格だった私は、猛烈に「自分の才能で生きる、かっこいい女性」に憧れていた。
むしろ、世の女の子はみんなキャリアウーマンとかに憧れていて、「男の子と対等に渡り合う」ことを当然としている。と思い込んでいた。
なので、「お母さんは、将来何になりたかったの?」と専業主婦の母親に聞いた時に、「う〜ん、お嫁さん。早く結婚したかった。」と答えられた時に、絶望した。
何に洗脳されたのかわからないけれど、「結婚して専業主婦=つまらない人生」の公式が幼い私の中に出来上がっていたから。
う〜ん。クレイジーだな〜。
ちなみに、子どもの頃、両親の仲はとても良好に見えました。
今も離婚せず一緒にいるので、まあ、一般的な夫婦でしょうか。。。
結婚しないのではなく、できない。(笑)現実はもっと残酷
自立した女性に憧れながらも、気になる男の子がいると、「結婚したら〜、子どもの名前は〜」みたいなことも考えたりしていました。
そう、恋愛対象はマジョリティな「異性」。
ただ、偏った女性像に憧れていたせいか、可愛い女には逆立ちしてもなれず、恋愛面はズタボロ。
結婚しないのではなく、できない、という状態。
仕事も恋愛もうまく行っている人を見ると、「しくじった〜!恋愛をばかにするもの、恋愛に泣く。」と、今更取り戻せない過去を嘆いたりしています。
しかも仕事面でも負け犬だわ。
恋愛下手という点では多少の劣等感みたいなものは感じるのですが、結婚していないことについては「焦り」とかはないんですよね。
「絶対に子ども欲しい!」とかもないし。
なのになぜ、子育ての仕事に10年以上就いたのか。
子どもがいなくても子育て系のスキルをつけることはできる
私が小学校の時に一番好きだった先生は、40歳ぐらいで、旦那さんはいたけれど、お子さんはいらっしゃらなかった。
私が日記がわりに書いた詩(ポエム)を、学級便りに掲載してくれて、それがとても嬉しかった。
絵を描くのも好きで、図工は得意なつもりでいたけれど、私の人生の中で図工や美術の成績で辛口だったのは彼女だけだった。
とても悲しくて悔しかったけど、このことで気づかされたことがある。
私は何かを真似して作ることは上手だったけれど、オリジナリティという点では全然周りの子に敵わなかった。
尊敬する先生には子どもがいなかった。
でも、先生はひとりひとりの生徒をしっかり見て、愛してくれている、と感じられたのです。
子どもがいないからって、能力が劣るわけではない。
自分の子と比べることがない、という点ではメリットかもしれない。
少なくとも私は、子育て系の仕事をしていて、子どもがいないことで「子どもがいないあなたに何がわかるの!?」みたいなことを保護者の方から言われたことはない。
(思われたことあるのかもしれないけれど。)
プライドを持って仕事をしてきたし、子育て系の仕事は結婚してるかとか子どもがいるかとかとは、全く別のセンスが必要な仕事だと思う。
一つの命をお腹の中から育てていくことは、それはもう尊いことで、一瞬が一瞬しか存在しなくて、子どもはどんどん成長していく。
そんな目まぐるしい子育てに一生懸命な世の中のお母さんたちの愛の深さにはもう菩薩様を感じるし、眩しすぎて直視できないくらい。
子育て系の仕事に就いていると、子どもの一時代としか触れ合わない。
今年の1年生は来年2年生になるし、また新しい1年生が4月に入ってくるんですね。
この繰り返し。
もちろん同じ人間は存在しないので、全く一緒というわけではないですが、傾向はつかめてくるし、ノウハウがどんどん蓄積されていくのです。
小学生期については、知識と経験あり。あと集団の扱いも任せて!!
なので、子育てと子育て系の仕事は似て非なるもの。
「どうして結婚しないの?」の本当の呪いは同業者から
結婚することが当たり前だと信じている子どもたちから言われることは平気です。
万が一、保護者の方でそういうことをおっしゃる方がいらっしゃったとしても、ほとんどの保護者から信頼していただいていれば、1人や2人言う人がいても平気です。
一番きついのは同業者からの一言。
大人だし、色んな家庭を見てきているから、いろんな生き方に理解があるかと思えば、そうでもないのが子育て系の同業者です。特に既婚か結婚経験者。
子どもが大好きだから、子育て系の仕事をしている人がほとんどの業界です。
もちろん私も嫌いなわけないですけれど、仕事の一番の動機は「子どもが好きだから」ではないです。「子どもたちの為にしたことが、世の中の為になるはずだから」です。
だから、結婚していなくても、子どもがいなくても仕事は頑張ってこれたのですが…。
仕事ぶりを評価してくれている、と思っていた上司から
「一度は結婚した方がいいわよ。子どもは産みなさい。」
子育て系部門の行政の方からも
「早く相手見つけろよ。」
悪気のない言葉に傷つく。
「結婚しない、子ども産まない」は、この業界ではマイノリティすぎる。
確かに、結婚すれば、子どもがいれば、仕事ぶりにも説得力が出るような気はする。
けれども、頑張っている仕事の内容や私という人間を評価してほしかった。
私という人間を否定されるような気持ち。
未婚のまま年齢を重ねるにつれ、徐々に居心地が悪く感じる。
結婚しない私にこの仕事は向いていないのかもしれない。
仕事、辞めたいな。
そんな風に感じるのでした。
おまけ
昔、占い師から言われたこと。
「あなた人相でわかるわ。結婚できるわよ。結婚相談所とかに登録しなさい。」
登録すればできたそうです。結婚できないのは登録しなかったからですかね。(笑)