ああ、アレが来ると仕事にならない。
お腹は痛いし、身体中だるい。
機嫌も悪くなるし、どうしてないんだろう。「生理休暇」!!
過ぎるとあんなに辛かった数日間をけろっと忘れてしまう。
これも何かの陰謀か。
昔の人はどうしてたの?穢れた女性は月経小屋に隔離する
小学校高学年になると、女子だけ集められてレクチャーを受けるアレ。
昔は大きな声で「生理」なんて言おうものなら「はしたない」とたしなめられるような、秘め事のような扱いでした。
まあ、今は性能の良いナプキンがあるし、痛み止めもあるし、随分楽になったよね。性についてもオープンになってきているような気がする。
大概の人は痛み止めとかの力を借りて働こうと思えば働けるし、「今日、アレなんです。つら〜い。」とか職場でも言えちゃう時代です。
さて、本当に昔の人ってアレどうしてたのかな?って思ったことありませんか?
昔って昭和とかじゃなくて、平安とか江戸とかの方ね。
その昔、日本では月経は穢れという扱いでした。
月経部屋なるものがあって、そこで月経中の女性は過ごすのです。
似たようなものは世界各地であって、現在でもネパールなどではまだ残っている場所があるそうです。
私がこの小屋について初めて知ったのはファンタジー小説からでした。
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古事記に登場する人物を基に描かれた長編小説で、未完のまま先生は他界…。
日本の古代を舞台に繰り広げられるファンタジーなんて唯一無二でしょ。
(あの頃、勾玉欲しくて堪らなかったなぁ〜)
氷室冴子先生と言えば、平安時代を舞台にした「なんて素敵にジャパネスク」や、ジブリアニメの「海がきこえる」の原作者、といえばピンと来る方もいらっしゃるでしょうか。
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脱線しました。 小屋のことです。
「銀の海、金の大地」の主人公の少女は初潮を迎え、村の月経小屋で数日過ごすのです。そこには同じように月経中の女性たちがまったりと過ごしている。女たちは何もしない。おしゃべりをしているぐらい。匂い消しの薬草かなんかを燃やしていて、小屋の中はちょっと煙たい。月経が終わると身を清めて村に戻るのでした。
(記憶がぼんやりしているけれど、確かこんな感じ)
ファンタジーなんですけど、氷室先生はかなりリサーチをして小説を書いていた、ということですので根拠のないことは描かないと思うんですね。
月経小屋については、少なくとも明治の近代化で廃止されるまであった風習です。氷室先生も当然知っていたと思います。
「月経中の穢れた存在を隔離する小屋、悪しき習慣」と聞けば、「ひどい女性差別だな。今の時代の方がいいな。」と思っちゃいますね。
別の視点で日本の風習を考える
日本の風習や風土について東京や地方でリサーチしながら考察している方から、こんなことを教えてもらったことがあります。
例えば戦で落ちた侍の妻が入水した伝説が残る池がある。ほとりには小さな祠があって、この地域の人たちは「あそこには近づいちゃいけない。近寄ると祟りがあるよ。」と言い伝えてきた。
実はこの伝説にはかなり信憑性がない。では、なぜそんなデタラメな伝説が生まれたのかと言うと、人を近づけない為だったのではないか。危ないから子どもたちを近づけない為…とも考えられるかもしれないけれど、つまりは、守りたいものがあったということ。この地域の人が守りたかったものは、この池の源泉、湧き泉だったのではないか。
そして、その池は平成になっても開発の手を逃れ、現在も澄んだ水がコンコンと湧き出ている。
そのような視点で考えると、祠があって神木として祀られている大樹は、地震や土砂崩れが起きやすかったりする場所で根を張り地盤を守ってくれているのではないか、など先人の知恵がうかがえる。
長く神聖な場所、呪いや祟りの伝説がある場所とされた所には、そうなるべき理由があったのではないか。
そしてその伝承は残念ながら途絶えつつある。
月の小屋で生理休暇
「月経中の女性は穢れていて近づいてはいけない。」
腫れ物に触るようなこの表現も視点を変えると印象が変わります。
多くの地域で、月経小屋にいる間は、女性は仕事をしなくてよかった。
学校や病院がない時代に、性のこと、出産のこと、月経小屋は知恵の伝承の場であった。
穢れた女に触れてはいけないと言われた男たちは月経小屋に近づかなかった。
月経中で体力免疫力が落ちている女性たちを、月経小屋は男たちから守った。
これって「生理休暇」じゃないですか。
差別的と言ってなくなった小屋だけど、いいところあるじゃないかー!
(地域によっては生理中だろうと女性を過酷な労働に従事させていたという記録が残っているそうです。そうしないと生きていけない環境、貧困とかが背景にあったのかもしれません。)
生理中は、できれば仕事したくないですよね…。
生理休暇プリーズ。
「月の小屋」という詩的な表現は津田塾大学の三砂ちづる先生がこのインタビューの中で使っていたものです。先生は疫学やお産、女性が抱える問題、などに取り組んでいらっしゃいます。
最後に三砂先生の言葉で今日は終わります。
当時は汚れているから差別されて、そこに押し込められていたってことになっていて、もちろんキレイな場所ではなかったかもしれないけれど、その間だけ月経小屋にいって過ごす、という場が日本のあちこちにあったんです。そこがいろんな世代を超えた女性の伝承の場になっていたと言われています。いいですよね。毎月月経のたびにそこへいって、家事や子育てから解放されて女ばかりで3、4日過ごすって、どんなに楽しいかと思いますよね。
疫学者・作家 三砂ちづるさんスペシャルインタビュー 第1回 フェミニズムは女を幸せにしているか。 – salitoté(さりとて) 歩きながら考える、大人の道草WEBマガジン