なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

大人を試す?「抱っこして」

小学生の放課後の現場で仕事をしていました。

幼稚園や保育園から小学校に上がったばかりの1年生は甘えん坊も少なくないけれど、私がいた場所では、抱っこ、おんぶ、膝乗せ禁止でした。主な理由は二つです。

 

・子どもの発達段階に合わせ、自立を促すため。

・職員と児童の関係において、性的なトラブル・誤解を回避するため

 

保育園などの方針にもよりますが、小学生になっても大人にベタベタとくっついてくる子はいます。親しくても家族ではない人との距離感ってできれば早いうちに身につけてほしいな、と思っています。抱っこやおんぶがなくても、一緒に遊んだり笑ったりすることで信頼関係は作れます。スキンシップも、手遊びで十分かな、と思います。

 

親子の関係はまた別だと思っています。大きくなってもずっと抱っこで移動だったらおかしいけれど、「ただいま〜お疲れ〜」「おやすみなさい」「大好き!」のハグは必要に応じてあるといいですよね。

 

 

私は、お子さんをお預かりする仕事をたくさんしてきた中で、抱っこを拒否する難しさを感じています。子どもの「抱っこして」は、言われるとかわいいし、ぎゅっとしたくなる。断るとぐずったり、嫌われたりするんじゃないかと不安になる。でも、本当の親ではない自分が抱っこをすることについて、長い目で見て、子どもにとってのメリットをあんまり感じないのです。

常勤している放課後児童クラブなどは、組織で方針を統一できるし、「抱っこ・おんぶしない」を実践するのは比較的安易にできました。他の先生も見ているから、どういう状況でどんな断り方をしたかも共有しやすい。たくさん人がいるから、遊びで気をそらしやすい。そうこうしているうちに子どもとの信頼関係は築けるし、抱っこも必要なくなってくる。(まあ、小学生だし)

 

難しいのは初めて行った場所や、単発や数回きりのお預かりです。3歳〜小学生ぐらいまで、いわゆるベビーシッターをしたことが何度もあるのですが、80%ぐらいの確率で、初日に「抱っこして」は言われました。

 

だいたいが、「疲れて歩けないから抱っこして」です。

 

「抱っこして」は初めての大人への試し行動?

海外では、赤ちゃんの頃からベビーシッターさんを利用しているご家庭は結構たくさんあります。子どもは親以外の人に抱っこしてもらうことに慣れています。シッターさんは高校生ぐらいのアルバイトも多いのです。若くて経験がない子が多いので、子どもの試し行動に対応しきれないことがよくあるようです。若いベビーシッターさんが自分のポケットマネーでお菓子を買ってあげていた、ということがあって、私がシッターをした時にコンビニの前で大泣きされたことがあります。仕事中で申し訳ないけれど、親御さんにお電話して状況を説明し「いつも買ってあげているのか」を聞きました。親御さんは「知らなかった」のです。

 

そんな試し行動のひとつに「抱っこして」があるのではないかと思います。普段から、親御さんは忙しく働いていて、抱っこしてほしい時にしてもらえないこともある。そんな時、優しいシッターさんはわがままを受け入れてくれて包み込んでくれる。冬のコタツだわ。一度入ると抜け出せない。ベビーシッターさんは親よりも甘えさせてくれる、わがまま言えると思っている子どもは多いです。

 

保育園にお迎えに行く。歩いて帰らなきゃいけない。

 

「疲れたから抱っこして!もう歩けない!」

 

歩けるやろー!!!(心の叫び)

 

私がこれまでお預かりした子は、みんなそこそこ大きいので、疲れているのは事実だと思うのだけれど、初対面の人間に「抱っこして」なんて、新しい先生やベビーシッターは、わがまま言い放題できるかどうか試してる発言なんですよね。抱っこが大変なことは子どももわかっているし、抱っこってリターンがすごくわかりやすくて報酬がでかい。温かくて気持ちよくて、歩かなくても運んでもらえて、なんだったら寝ちゃってもいい。

「前の先生は抱っこしてくれたよ!」とか言うんですよね。「え?赤ちゃんの時の話だよね?」と言ったり、「私はしないよ。どうしてだと思う?」とか言って、考えてもらいます。

 

 

この辺りの対応は本当にさじ加減だし、状況や人によって違うんだろうけれど、私は極限まで抱っこしません。

 

楽しい話をしたり、歩くのに遊びを取り入れたり、励ましたりしてなんとか歩いてもらいます。最後まで歩けたら、過剰なぐらい褒めて、後は寝るなりなんなりお好きにどうぞ!(だいたい元気に遊ぶけど)

 

とても幼い子の場合、様子によっては、「3歩だけね。1、2、3。」と気持ちだけ満足させてあげて残りは歩くって方法もあるでしょう。先に、「あの角まで!」とか絶対に見通しをつけておくことがポイントです。そうじゃなければ最後まで抱っこしてもらえると思ってしまいます。

 

抱っこ紐も何もなく、お迎えの荷物もあったりして慣れてない子を抱っこするのは危険!落としたら大事故です。安全のためにも歩ける子には歩いてもらうのが一番。

 

1対1のベビーシッティングはとても難しい。お子さんは、親御さんに「楽しかった?新しいシッターさんどうだった?」と心配して聞きますが、お子さんは上手く伝えられなかったり、親御さんに構ってほしくて、事実とちょっと違うことを言ったりすることもあるのです。だから、子どもに嫌われるようなこととか泣き出されるようなことはしたくないのがお預かりしている側の心情でもあると思います。

単発のベビーシッターなんて、子どものわがまま聞いて耳障りのいいことだけ親御さんの耳に入れときゃいいと思う人もいるでしょう。

 

で、も、し、か、し!試し行動、試し発言を上手く利用し、考える力や成長につなげたい!世の中自分の思い通りに行かないこともあるのだと、知ってもらいたい。頑張れ子供達よ。

 

親御さんはどう思っているのでしょうね。「お金払ってるんだから、子どもが疲れたって言ってるんだから、抱っこぐらいして連れて帰ってよ!」って思っていますか?どうですか?「疲れた!抱っこして!ベビーシッターさんはいつもしてくれるよ!」とか言われたら、どうしますか?

 

小学生ぐらいになると試し発言は「抱っこして」ではなく、「荷物持って」に変わります。全部持たせようとする子もいるので、させません。自分で持てる分は持ってもらい、どうしても手伝って欲しい時は「手伝ってください。ってお願いするんだよ。」と伝えます。

 

子どもと一緒にいるだけでお金もらっておいて偉そうに、って思いますか?育てる気持ちに共感して欲しいな。

あと、現代のベビーシッターや保育士、児童指導員が、召使いのような扱いを受けて悲しい待遇にならないように願っています。そして、自ら召使いにならないように。