映画興行収入を見てて、映画とは何かを考えたら、ジブリのすごさに気づいた
劇場版「鬼滅の刃〜無限列車編〜」が大ヒット中ですね。
興行収入が怒涛の勢い。現時点(11月3日)で150億円を優に超え、すでに歴代TOP10入り。
このことで、トップ10のランク表をよく目にするようになりました。
1 千と千尋の神隠し
2 タイタニック
3 アナと雪の女王
4 君の名は。
6 ハウルの動く城
7 もののけ姫
8 踊る大走査線 Movie2
10 アバター
なるほど。懐かしいものもあるけれど、全部見てるわ。
タイタニックでめっちゃ泣いたな〜。
ところで、今回話題にしたいのは、「映画ってものをどう捉えるか」です。
鬼滅の刃は面白いと思っているし、どうやらハマっていることは過去記事読んでいただければ伝わるでしょうし、劇場版も見たいな〜、と思っています。
でも興行収入だけの話で超えたとかっていうのは次元の違う話なのです。映画ランキングにしていいのか?「劇場版・鬼滅の刃」は独立した「映画」とは別物です。「劇場版」なのです。鬼滅の刃は漫画原作があって、テレビシリーズがあって、今回の劇場版はその続きです。
このTOP10の中で他に劇場版と言えるのは「踊る大走査線」ですね。
ハリー・ポッターも原作があり、続くことが前提なので、これも置いといて。
続編があるという点で、アナ雪とアバターも排除します。
そうすると「映画」として残るのは以下の通り。アニメばっかりだな。
君の名は
これが日本で売れた「映画」です。タイタニックはリメイクに入るのかなぁ。ジブリの作品は原案的な原作があることが通例ですが、あまりにも内容が違うので、「映画」として大丈夫でしょう。上記の中で映画館で見たのはタイタニックとジブリの3作なのですが、一番衝撃を受けたのは「千と千尋の神隠し」でした。
もちろん宮崎駿さんの新作ということもあり、話題になっていたし、内容については賛否両論ありました。ちひろの気持ちは大人にはわからない。子供達の方が共感できるなんて話も聞きました。
そんなことはともかく。
当時の私は「映画館で見るべき映画だ。これは映画そのものだ。」と思った記憶があります。
鬼滅の刃のヒットのおかげで、再度「千と千尋の神隠し」の何がすごかったのか思い出すきっかけになりました。
売れた映画の中で、「千と千尋の神隠し」は「映画の中の映画」で、だからこそ名作なのだという話を今回はします。
入り口と出口が映画
トンネルをくぐると異世界だった。まあ、よくある設定のようにも思います。
ナルニア国では主人公たちは戻って来ず。アリスは夢オチ。
「千と千尋の神隠し」ではトンネルを歩きます。
アクシデントで落ちるわけでもなく、自分の足で暗い中へ歩いて入っていく。
映画館の中に入っていく私たちと同じ行動です。ここで、私たちは完全に映画の中の映画の中に入って行きました。
最後のシーンでもトンネルをくぐって帰ってきます。デジャブな風景です。
現実に戻っていくこのシーンは、物語の世界から映画館の外に出るときの感覚に似ていると感じました。
「千と千尋の神隠し」は映画という体験が入れ子になっているとも言えるのです。
つまり、「映画の中の映画」なのです。
「千と千尋の神隠し」で起こる「映画という体験」
映画というのは不思議なもので、なぜか誰かと一緒に行きたくなります。
全然一人でもいいのに。
誰かと一緒に行って、感想を言い合って、全然意見が合わなかった、なんてこともあるあるです。
実は誰と行こうと、「映画という体験」は「個人のもの」だからです。
「千と千尋の神隠し」でもトンネルをくぐって入るときは家族一緒だったのに、千尋は物語の序盤で一人になります。
お父さんもお母さんも、それぞれのトンネルの向こうの個人的体験の世界に入って行ってしまって、千尋の声は聞こえないのです。
一人になった千尋は湯婆婆に「千」という名前に変えられてしまいます。映画を見ていると主人公の気持ちになったりまるで自分自身が冒険しているように感情が乗り移ってしまうことありますよね。
千尋が千になった時には完全に観客も映画の中の主人公になっているのです。
しばしば、人は自分を変えた映画や成長させた映画について語ることがあります。
千と千尋の神隠しは、一人の女の子の成長の物語でもあります。だけど、最初のトンネルと最後のトンネル、不安そうな千尋の顔は同じに見えます。
実際、人間は2時間の映画を見たからって見た目がそんなに大きく変わるわけではないのです。しかし、映画から出てきて振り返った時わずかに景色が違って見える(千と千尋ではモルタルのトンネルが石造りになっている)のは、単純な2時間以上の何かを体験したから。
映画って本当にいいもんですねぇ。
一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで。
あなたは映画の内容って細かく覚えているタイプですか?
私は大概忘れていますね〜。
「千と千尋の神隠し」もしっかり覚えているかというと、怪しいです。ただ、あの不思議な世界観、寂しさ、切なさ、勇気、少しずつ温かい気持ちになっていくあの感じ。なんとなく感覚が残っているような気がします。
千尋も最後に振り返った時には、起きた出来事はすっかり忘れてしまっているようでした。
ただ、あのキラリと光る髪ゴムのお土産が、夢のような時間を確かめるヒントになるのです。
「千と千尋の神隠し」の細かい描写の考察とかはしません。
改めて、「千と千尋の神隠し」は映画という体験そのものだと思うのです。
一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで。
「鬼滅の刃」ジャンプの新しい読者層の女子人気を考察したこちらも是非。