今週のお題「鬼」
今年は鬼滅の刃コラボの福豆パッケージを見て、「なるほど」と唸った節分でした。全集中で飛びかかってくる子どもたちを相手に頑張った大人のみなさま、お疲れ様でした!
節分は春を迎える厄除けのイベントなわけですが、どうしてこんなに子どもを怖がらせるのか。何度かこのブログでも「怖い」と「安心」を繰り返し子どもたちの情緒を育てる話を書きましたので、よかったらこちらもどうぞ!
鬼門の話
さて、鬼っていうのは北東からやってくるようです。鬼門って言います。
これがとてもわかりやすいのが京都で、京都の街全体を守る位置にあるのが比叡山延暦寺と言われています。裏鬼門と呼ばれているのが南西方向。日本独自の考え方らしいですが、石清水八幡宮があります。
江戸時代以降には鬼門除けがブームになってきて、京都には今も残る風習がたくさんあります。天皇の御所(京都御所)や東本願寺は北東の方角のカドは取られていて、鬼の角を取る意味があるそうです。今気づいたんですけど、私の住んでるレトロアパートの部屋も北東の角が取れた形になっています。え?そういうことなの?
一般の家屋などでも北東の方角には石が置かれていたり屋根のあたりに鍾馗(しょうき)さんという魔除けの焼き物が置いてあったり、京都ほど鬼が身近な街はないでしょう。
十二支を方位に当てはめると北東は丑寅。そこで鬼の姿は牛の角、虎のパンツで描かれることが多いですね。そんな京都では丑寅の真反対にある未申の猿を「神猿(まさる)」という鬼よけにしているところがあります。「魔が去る」といわれているのだとか。
桃太郎がお供に選んだのは犬、猿、キジ。鬼門と逆の位置にいるサルと並んでトリ、イヌがあるので選ばれたのは偶然ではないでしょう。もう一つ真反対の羊ではないのは気になるけれど、どうせ人間の発想は適当だったり思いつきだったりするので、物語にしやすいのでイヌとキジになったのではないかと勝手に思っています。江戸時代の人たちってユーモアや奇想天外な発想のあるもの好きですしね。
安野光雅さんの桃太郎
さて、日本の昔話の代表格「桃太郎」ですが、先日永眠された安野光雅さんも本を出しています。桃太郎の鬼退治って、どうやら悪い鬼が宝を持っているらしい、ってことぐらいで鬼は全然怖くないんですよね。安心して読める。
どう考えてもツッコミどころ満載の桃太郎のお話をユーモア交え、楽しくツッコミながら描いています。
「桃は植物だから聞こえないよ」
「動物のくせにして、ももたろさんももたろさんと 気安くするな。」
やばい。桃太郎、いじめっ子説。
泣いた黒おに。。。
最後には「行くの時船で行って、帰るの時車で帰る。これはこれは極めて稀有の話じゃないの」とツッコミまくって終わる楽しい一冊です。
このきりがみシリーズは豪華本なので、ちょっと高いんですけど、(しかもプレミア付いちゃって値上がりしてるぽい)めちゃめちゃ素敵なんですよ。安野光雅さんの絵本はどれも素敵ですが、「桃太郎」はとってもお気に入りです。きりがみむかし話シリーズは「花咲爺」と「舌きり雀」もあります。
「もりのえほん」好きだったな。
ああ、安野光雅さん。本当に素敵な本をたくさん生み出してくれてありがとうございました。
きっと長く長く読み継がれていくはずです。