それ、空間恐怖症ですよ
空間恐怖症、と巷で呼ぶ人もいると聞きます。
壁面とかを装飾で埋め尽くさずにはいられない、というやつです。
これは、例えば、紋様で埋め尽くされたイスラム建築や、日本建築でも絢爛豪華な日光東照宮、なんかが当てはまるかもしれません。
普通の一般家庭でも、壁にちょっとでも空間があれば、写真や絵や賞状などを飾り、ちょっとでも何か置けそうなところがあれば、各地のお土産や、郵便局でもらった販促品なんかを飾ってしまう。
もう、私の祖母の家がまさにそれです。
唯一、応接間の、テレビボードの横の壁に大きめの空間があって、そこは大丈夫だと思っていたら、ある日突然、馬鹿でかい「モネの睡蓮」の額縁がかかっていて、
「なる子ちゃん、どう?買ったのよ、素敵でしょう?なる子ちゃんはいいものがわかるから、この作家さんのこともわかるんじゃない?」と問いかけられ、
「いやいや。所詮ポスターだし!!しかし、こんなバカでかいポスター、いくらで買ったの!?」
と心の中で大きく叫び、
「モネの睡蓮だね。私、好きな絵だよ。」と愛想笑いし、
埋まってしまった空間へ、同情と哀れみの祈りを捧げるのでした。
ちーん。