展覧会行ってきた
笹本晃(ささもと・あき)さんの展示を見に行きました。
去年、東京でも開催されていたそうなのですが、「え?いつやってた?」と思うほど、情報をキャッチできていませんでした。まあ、それもそのはず、開催期間はほとんど関西にいて、めちゃめちゃ忙しかったので気づかなかったのです。
私が笹本晃さんの作品を初めて見たのは2022年のヴェネチアビエンナーレ。エスカルゴの殻とメラミンスポンジがシンクの上のエアホッケーみたいな台の上でコロコロ転がっている作品でした。実験室のような緊張感の中にコロコロと音を立てて転がるカタツムリ。。。



正直、コンセプトはわからなかったけど、面白いな!と思って印象に残っている作品です。
笹本さんはアメリカ在住のアートティスト。コロンビア大学大学院を出て、イェール大学大学院で教鞭を取る、スーパー優秀そうな経歴です!
もちろん若くして異国の地に行く勇気や苦労は相当な物だと思いますが、そんな風に生きる人生、憧れる〜。
今回は、国立国際美術館で開催中の展示をご紹介します。
見にいく準備・裏ワザ
国立国際美術館の展示は一般料金1800円。東京都現代美術館で開催した時は1500円だったそうなので、ちょっと高いような気もします。
しかし!いつも通り、ちょっと裏技を使います。
大阪メトロの1日乗車券、エンジョイエコカード(土日)620円を利用します。
ちなみに平日は820円。
まず、交通費が安くなります。
よっぽど近所に住んでいない限り、こんなにお得な1日乗車券はありません。地下鉄だけでなく、バスも乗り放題。
そして、大阪の約20の施設で割引特典があります。
国立国際美術館の場合、団体料金で入れるので200円引きになりました。
また、土日祝はパフォーマンスイベントを開催している日があるので、それに合わせて行くとバリューが上がります。
私は閉館後にパフォーマンスがある日の午後に行きました。
閉館までゆっくり会場を鑑賞し、パフォーマンス鑑賞者以外が退館した後の静かな空間で見ることができます。
平日行きたい人には夜間割引がおすすめ。
金曜日の17〜20時は団体料金と同じ金額で入館できます。
展示空間
笹本さんの作品の特徴としては、日用品をたくさん用いて空間を構成していることです。
どこかユーモアのあるインスタレーション作品です。
過去に行ったパフォーマンスの映像も流れていました。

よく見ると配置された彫刻作品は、そのままでも緊張感のある配置でありつつ、パフォーマンスの装置でもあることがわかってきます。

ガシャコンと突然動いたりもします。

彫刻的な思考とは何か
彫刻(スカルプチャー)の概念とは何か。それは「アートとは何か」が議論され続けているように、彫刻もまた、「彫刻」と言う原初的概念をベースに語られ続けてきたことだと思います。
彫刻の原点は、石彫やブロンズなどを材料に人の手で作られた、どっしりと構えて動かない立体的なオブジェのイメージがあるのではないでしょうか。
レディメイドの登場で、手作り的な彫刻の概念が土台から揺らいで以来、様々な素材が彫刻となり、また儚く消えやすいもの、固定されていない、動くもの、光などの現象も彫刻へと広がっていったのです。
私は物理的なことは詳しくはないのですが、動いたり、変化したりすることを運動の一状態とするならば、固定されていることもまた、運動の一部であると言えるのではないでしょうか。彫刻的存在感は、動いているものも動いていないものも一緒なのかもしれません。
物と物だけで作用し合う緊張感があったり、人が介入することが空間に変化を生み出すこともあります。
書いていて頭が混乱しそうです。
ともかく彫刻の概念はこうやって拡張され続けているのです。
パフォーマンス『Yeild Point(降伏点)』を鑑賞
パフォーマンスの撮影は禁止でしたので、どこまで伝わるかわかりませんが、とても面白かったです。
カツンカツンと革靴の早足に合わせて、高速メトロノームのように、白のマーカーをカチカチカチカチと鳴らしながら入場したアーティスト。眼光鋭く、気難しい教授の感じがあります。壁に貼り付けたゴミ袋にグラフのようなものを描き『弾性』と記す、TEDさながらの講義のようなパフォーマンスが始まりました。
わらわらと群がる鑑賞者が見えているのか見えていないのか、迷いのない足取りで、会場内を突き進んでいくので、鑑賞者はモーゼの十戒の海のようにアーティストの為に道を開けます。
ほっとしたのは日本語パフォーマンスだったこと。英語で哲学的なこと言われても、理解が追いつかないので、助かりました。
会場では金属が引っ張られてついにちぎれる様子を撮影した動画も流れていました。
弾性とは伸びて戻るゴムのような性質のこと。これが伸び切る限界を超えると、物質は変化する。物理の話かな?
人間の弾性は、高ければ高いほど退屈しないらしい。ただし、社会の中で退屈に生きている人たちと目が合わなくなってしまう。壁に設置したトランポリンに弾き飛ばされたり、ぺちゃんこだったゴミ袋に空気を入れて形を変容させたり、物質と身体が関わり、言葉が投げかけられる。アーティストが歯磨き粉の話を始めた時にはクスクスと笑いが起こり、真剣な面持ちだからこそ余計におかしみを増して内容が入ってくる。みんな、この講義に夢中。
『How elastic are you? (あなたはどのくらいの弾性か?)』と締め括られました。
声に出て笑っちゃうユーモアもあるのに、最後にはグッときてしまった。
終わりと見せかけてまた戻ってくるのではないかと思ったら「終わりです」と控えめな声が飛んできた。拍手が長く続いた…。
彫刻的思考と哲学的思考、身体表現、言葉と時間、その場に居合わせた人たちとのその場限りの関係性。様々なことが複雑に絡み合っている作品だと思いました。
なるほど、これが天才ってやつか…。
このところ、同年代の女性アーティストの活躍が目覚ましい。
素晴らしいアーティストが世界で活躍していて嬉しいと同時に、何も成し得なかった自分が悲しい。
引っ張って限界まで伸ばす。
そのほうが人生は面白い???
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そういえば、あのエスカルゴは食べて集めたのかな?
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おまけ コレクション展
国立国際美術館では、いつも通りコレクション展も開催しています。
今回見ていて、「あれ?これって中之島美術館のコレクションじゃない?」と思うものがいくつかありました。
中之島美術館ができる前、「大阪市近代美術館(仮)」の時代は建物がなかったので、作品だけイベント会場などで展示していたのです。
その時に見たような気がする作品がいっぱい。気のせいかもしれないけど。
中之島に常設展がないことが常々不満ではあったので、場所が変わってもお披露目する機会が増えるなら、それはそれでいいんじゃない?と思います。
しかし、いつも通り見る時間は足りませんでした。
以前はざっくりとしか展示を見ていなかったのですが、じっくり見れるように私自身が成長したかもしれません。近年は映像作品が多いと言うこともあります。
残りの人生こそElasticに生きる人間でありたいと思う展示でした。