なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

壁面装飾なんて、剥がしてしまえ!

 

保育園や放課後施設はだいたいどこも空間恐怖症

空間恐怖症の話を書きました。

www.ma-naru.com

 空間恐怖症というと大げさな感じではありますが、美的感覚として、日本人にこの感覚を持っている人は非常に多い、という話を聞いたことがあります。

 

そのせいでしょうか。保育園や放課後の施設の壁面は、隙間なく埋められていることがよくあります。

 

今回は、なるべくいつも通り、理論的に意見を述べたいところですが、個人的な感情があることを先に告白しておきます。

 

壁面装飾が大嫌い。あんなもの、剥がしてしまえ。

 

特に、保育雑誌の丸パクリの壁面が、嫌いです。画用紙で作る、あの、白眼のないまんまる黒目が離れて顔についた、ピンクやブルーのクマさんウサギさんが、夏ならヒマワリを背景に海で戯れるような、あれです。想像できますか?

 

もう一回。

 

嫌い。

 

オリジナリティのかけらもない。ちっ。

 

保育園に行くとどこ見ても手作り壁面装飾。

どこ行ってもデザインソースは一緒。

 

季節の壁面飾り。

お誕生月の壁面飾り。

職員紹介の壁面飾り。

なんとなく壁を装飾する壁面飾り。

 

100歩譲って保育園はいいや。

小さな子どもたちはかわいいものが好きだし、ぐずって泣く子の気をそらしたりするのに役立つことがあるからね。

「あらー、かわいいクマさん♡なにしてるのかな〜?海で泳いでいるよ〜♡」

(ごめんなさい。バカにはしてません。)

 

小学生向けの施設で、保育園向けの図案を使っていることが、嫌な理由の一つです。

小学生をもう幼児扱いしたくない。できれば、季節に合わせた柄の暖簾を掛け替えるとか、お華の先生に頼んだ生け花飾るとか、ちゃんとした雛人形とか兜を置くとか、本物に触れる機会があったらいいな、と思いますが。

そうはいかなくても壁面はキャラクターじゃなくてもいいし、保護者が見ても「おしゃれですね!」って思うようなものにしたいなーと思っています。

 

わかりやすく、私が壁面装飾を嫌いな理由を5つ挙げておきます。

①大概オリジナリティがなくかわいくない。(しかも幼児向けデザイン)

②画用紙の色が嫌い。(保育系の通販の画用紙って色がダサいんですよ)

③気が散る。(物が多く、がちゃがちゃした部屋では子どもたちも落ち着けません)

④壁面装飾のプレッシャーが、残業・持ち帰りを生む

⑤職員の自己満足になりがち

 

 100パーセント大人が作った装飾を見ると、もうがっかりします。

しかも、どこかのデザインを丸パクリです。

「この施設、暇なの?」って思います。

そんなこと言うと怒られると思います。

「職員の努力をなんてこと言うんですか!子ども達を喜ばせるために残業したり持ち帰ったりして頑張ってるんですよ!」

 

本当にそうなのかな?子どもたちの心はその装飾で豊かになったり、落ち着いたりしてるのかな?

壁面は無理して作らなきゃいけないものかな?

「かわいい〜!」と言ってくれる子どもも保護者もいると思うけれど、そう言ってもらうことで職員が満足してないかな?

 

かわいく室内を飾らないといけないという感覚に陥って、なんでもかんでも飾っていないかな?

 

下手な装飾をするぐらいなら、なくてスッキリした清潔なお部屋にした方が絶対にいい!と強く思っています。

 

注意書きが多い放課後施設

・廊下は走らないで

・手は綺麗に洗いましょう

・水を大切に

・扉は静かに閉めましょう

・あいさつをしよう

・使ったら元の場所に片付けてね

・おもちゃは大事に使いましょう

・スリッパを並べましょう

 

などなど。

言い出したらきりがないくらい、あちこちに注意書きの張り紙が貼ってある施設がとても多いのです。

注意書きの張り紙が多いところにいると精神的な圧迫感を受けることがあると、心理学の専門家が言っているのを聞いたことがあります。

 

とにかく、放課後の施設では、装飾と注意書きで壁や隙間が埋まり、下手すると窓も塞がっています。元の壁がどんなだったか、思い出せない勢いです。

 

落ちつかない子どもが多いな、という施設は、施設内の掲示物を全部見直しした方がいいと思っています。

 

絶対に効果でます。ミニマリストになるくらいの覚悟が必要です。

 

実録!新任の責任者の初めの仕事はゴミ捨て!

私が着任したある施設では、もう私の手に負えないかもしれないと思うほど、子どもたちが荒れまくっていました。

 

小学校2年生が、職員に向かって「おいブタ!」と暴言を吐きながら、回し蹴りをするようなところでした。

生活室の中を子どもたちが走り回り、机や棚の上に飛び乗り、本棚をよじ登り、おもちゃを振り回したり、大人が叫ぶが誰も聞いてない。。。

 

机などの配置も最悪で、死角が多く、子どもとのコミュニケーションが取りずらい。

 

一晩で、子どもを変えると決意し、全事業者さまから引き継いだのが3月31日の夜8時。そこから3時間かけて、私を含め、スタッフたった2名で、変えられるだけのことをしました。

 

主に「捨てる」ことです。

 

壁に貼られた掲示物をばんばん捨てます。

一目で「汚い」という印象のおもちゃや本も全部捨てます。

棚の上は物を置かない、を基本に捨てまくります。

 

「これ、何かに使えそう。」

「今使い道が思いつかないなら捨てる!」

 

掲示物など剥がす時に困ることがあります。

テープ問題。まじで大変なんです。

 

剥がれない、跡がつく、汚い。片付けや掃除の時に問題を起こしがちです。

 

やりがちだけどやってはいけないテープの使い方3つ

①家具やケーブルにOPPテープ

②窓ガラスにセロハンテープ・ガムテープ・両面テープ

③ホワイトボードにビニールテープ

 

私はこの3時間でOPPテープが大嫌いになりました。

前任者がOPPテープ大好きだったようで。

テープは見た目が汚いので、使い方は要注意です。

 

とにかくゴミを捨てまくり、レイアウトを変え、4月1日を迎えました。

 

子どもたちの第一声はこれ。

「えー!全然違う!広くなった!!」

 

4月1日時点では、事務机などの家具類は一切捨てていないので、汚い掲示物やおもちゃを捨てて、机の配置を変えただけです。

 

それでも「広くなった」と子どもたちは感じたのです。

 

その後も数ヶ月かけて、どんどん処分していきました。

窓を塞いでいた背の高い食器棚を処分し腰の高さの物に変えたことで、明るい日差しが入ってきました。

「棚の上には何も置かない」という基本ルールを作り、掃除もしやすく、スッキリとした印象になりました。

 

放課後の施設でも、保育園のようにお誕生日の壁面装飾を掲示することが多いのですが、職員さんに一度作ってみてもらったものの、作成途中で仮掲示した時に、目障りに感じて、「今年からなし!」にしました。個人情報問題もありますしね。

 

季節の壁面も、職員がエゴで作るのではなく、子どもたちの作品とどうコラボレーションするかを考えた企画をだしてもらってから作っていました。

ダサいものが嫌いなので、どうせ何かを掲示するなら、おしゃれなお店のディスプレイを作るぐらいの気持ちで取り組むように言ってスタッフには無茶振りしていました。

もちろん率先して自分でそれをするようにしていました。

 

落ち着いた雰囲気の場所を作れば、おのずと心も落ち着いてくるはず。

環境って大事なんです。

 

私は1日で子どもたちが変わったと実感しているし、1年かければ本当に様変わりです。

「あの放課後施設、とっても落ち着いていて、いい子たちばかりだよ。

私がいなくなった後も、私の精神を受け継いで頑張ってくれている方々のおかげで、この評価はずっと続いています。

 

保護者の反応

4月1日から少しずつ物を捨て続け、余計な飾りや掲示もなくなって、以前とは全く違う雰囲気になりました。

保護者の方々は業者が変わることをとても不安に思うので、私自身、色々変えてしまうことが保護者の方々にどう思われるか、心配でもありました。

 

普段から落ち着きがなく、物を投げたり、などの問題行動が多かったと噂のお子さんのお母さんが7月ごろ、生活室にいらっしゃいました。3月末で一度利用をストップしていたのですが、夏休みだけ利用したいということで私がお会いするのは初めてでした。

 

お子さんはADHD発達障害があり、それが問題行動に繋がってしまうことが度々ありました。誤解をして欲しくないので少し説明しますが、発達障害と診断されている子は、環境に強く影響を受ける傾向があります。視覚情報も聴覚情報も、抽出して処理する、ということが元々苦手というケースが良くあるのです。高いところによじ登りたい、という衝動にかられる子も多くいます。危険意識が低い傾向もあるのです。

 

聴覚の話で言うと、目の前で話している人の声も周りの話し声も同じボリュームで聞こえたら、目の前の人が何を言っているのか、聞き取りづらいですよね。

 

視覚的にもいろんなものが掲示してあると、あっちもこっちも気になって、落ち着かないのです。

 

お母さんは、部屋を見渡してこう言いました。

「なんか…物が少なくなったような…」

 

どきっとしました。捨てたものの中には、そのお母さんのお子さんが気に入って(?)もしくは気になって(?)いつも振り回していたものも含まれていたし、かわいい掲示物が大好きな人たちは保育者だけでなく、保護者にも多いからです。

一瞬、クレームとかきたらどうしようかと思い、「あ〜、前に比べると、なんか殺風景ですかね〜。」と誤魔化すように私は言いました。

 

しかし、お母さんは私の方に向き直し、こう言いました。

「いえ、とても落ち着きます。いいと思います。」

 

ああ、お母さんは、自分の子どもが、どのような場所であれば、気持ちを落ち着けて、本来の自分でいられるかを知っているんだな。

片付けてよかった!

そして、そのお子さんがもう一度利用し始めてから、パニックなったりしないか不安でしたが、とても落ち着いていて、聞いていたような問題行動はありませんでした。

 

その後、私の壁面装飾嫌いは続いていますが、上司からはもっと子どもの施設らしく可愛く飾れ、とか注意を受け、「ちっ。」と心の中で思いつつ、気が散らないプラスなるべく子どもの手が入った物を作るようにしています。

 

あ、私、作らせれば、早いしとっても上手なんですよ。自分で言うのもなんなんですが。(笑)

 

ではまたね!