なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・子育て(独身子なしですけど)ブログ

未来世紀ジパングが終了した。同時に日本の映像ジャーナリズムは終わったのか。

鬱案件。

 

テレ東の経済ドキュメンタリー番組「未来世紀ジパング」が突然終了した。

日本企業の新たな試みを取材する「ガイアの夜明け」、革新的なアイデアで成功を収めた実業家を取材する「カンブリア宮殿」と並んで、三枚看板番組の一つだった。

 

この中でも、民放でありながら丁寧な海外取材と世界の問題に切り込む「未来世紀ジパング」は特番でもないのに毎週毎週濃い内容だった。

MCもコメンテーターも問題提起しながら冷静な視点で言葉を選んで進行していた。

番組の内容も、取材の裏にはもっともっと闇がありそうな、でも放送できるようにギリギリの編集をしているのではないか、という感じがした。本当はもっともっと深〜く切り込みたかったのではないか。

 

今話題になっている香港の問題は5年前から取材をしていた。ジパングを見ていたから香港の人たちと話をしても、香港人の心情や一国二制度問題を理解することができた。

 

見えにくい隣国、中国や北朝鮮の問題も、一国だけを取り上げて取材するのではなく、その周辺国や、遠く離れたアフリカとの関係など、本当に歴史と時事を踏まえて取り上げてくれていた。初めて知ることばかりだったし、ジパングを見ているからわかる世界ニュースもたくさんあった。

世界の国の経済や魅力とその裏に潜む危うさ、それは日本にとっても他人事ではなく、まさに「世界を知れば、日本の未来が見えてくる」番組だった。

 

環境問題については、本当に知らないことだらけで考えさせられた。

印象に残っているのは2018年4月18日の放送「中国がゴミの輸入を禁止」の回。私たちの資源ごみ。回収されるペットボトルや古紙のリサイクルは日本の技術でうまく回転していると思っていた。しかし、実はほとんどが資源として中国に輸出されていたことを知って衝撃を受けた。

中国が自国のゴミ問題に意識を向け、環境改善に取り組み始めた。それはこれまでの中国が変わるのではないかという希望でもあり、日本の解決しきれていない問題を浮き彫りにした。ゴミの輸出ができなくなった日本でゴミが溢れる…その解決策として日本企業が選択したのは輸出先の国をベトナムなどに変えることだった。

 

そのベトナムでも環境汚染が深刻化。全てがチェーンで繋がっている。

 

対岸の火事の火元は私たちが飛ばしたロケット花火かも知れない。

 

9月の放送は物議を醸し出している。

9月11日「世界の大問題」

人類史上最悪の人身売買(奴隷)問題があるという。騙されて奴隷として強制労働させられる人々。日本のメディアが人身売買の問題を取り上げることは少ないと思う。いつもスタジオにいるSHELLYさんが現地取材に行ったのも良かった。問題は一方向だけではない、複雑に絡みあっているのだと直接取材したからこそ感じる「初めての困惑」を素直に出していたと思う。ジパングの取材班がどれだけの強いエネルギーとジャーナリズム精神で番組を作っているのか、日本でのほほんと暮らしている凡人には到底成し得ないことである。

 

イギリスに住んでいた時に印象的だったニュースがある。BBCが中国の田舎でレンガ工場で強制労働させられる子どもたちをスクープ取材していた。彼らは中国で問題になっている児童誘拐の被害者である。一般的には臓器売買の為殺されると言われているけれど、奴隷として働かされるケースもあるのだ。女の子たちは体を売ることを強要させられる。アジアのそういった地域に通う日本の男がいかに多いかもジパングでは匂わせる内容になっていた。

 

新疆ウイグル自治区の問題も興味深かった。中国共産党の「自分たちの思想が正しく、そうでないものには教育をしなければいけない」という発想は、どこかで聞いたことのあるものだ。ジパングの取材は、日本にも心当たりがあったり、日本では報道できない日本の問題を間接的に見せてくれるような気がする。

 

あれ?どうして日本では報道できないと私は思っているんだろう。怖い。

 

最終回9月18日「沸騰現場の経済学」

チェルノブイリの現在を取材。エネルギー問題の理想と現実。「フクシマ」という単語が何度も出てくる。中国・香港・アフリカの取材も継続していたものだけに終わるのが残念でならない。取材クルーはどんな気持ちだろう。

 

とりあえず詰め込んだ感のある最終回。

SHELLYさんは収録中うずくまってしまうこともあったそう。タイ現地取材もあったし、この番組の役割とか価値を想ってのことではないかと勝手に思う。唯一無二の番組だった。ひとつレギュラー番組が終わってしまう、という単純なことではなかったはず。

 

池上彰さんのニュース特番もわかりやすくて好きだし、池上さんがナビゲーターをしていたジパングも好きだった。鎌田さんになってから番組自体が落ち着いた雰囲気になってテレビ的華やかさはなくなったけれど、内容は悪くなかった。

 

なぜ、突然番組終了してしまったのか。予算不足か。視聴率不足か。それとも大きな力が闇で動いたか。テレビで言えないことが増えたのだろうか。余計な心配をしてしまう。番組の終了を聞いて、世界との繋がりをひとつプツンと切られたような気持ちになって鬱である。経済を通して観光とは違う視点で世界の国々を見ることができた。終わってこれまでの番組に思うことは感謝しかない。

命をかけて取材をしていただろう人たちに敬意を表する。私のような無知な人間にいろんなことを教えてくれてありがとう。

ああ、ジパング頼みで世界の様子を知った気になっていた。自分自身の無知さと努力不足を痛感する。

ジパングが終わったことで、無知に拍車がかかって島国日本のくだらないネットニュースに支配されて考えることを私は放棄してしまうのだろうか。

 

え?考えすぎですか?

 

このまま日本の映像ジャーナリズムは終焉を迎えるのだろうか。

新たな何かが生まれるのか。

 

 

番組の内容が徐々にチープになっていくよりズバッと終了して良かったかも知れない。自分自身に問題意識を持つことができた。

 

最近日本万歳な番組が多い中で、鎌田さんも最後におっしゃっていた「独善的でない見方」ができる番組でした。コメンテーターの方の言葉も印象的でした。日本の経済力や影響力は縮小しているかも知れないけれど、できることはたくさんある。アジアで一番実直な国になる。そうあってほしいし、実直な報道をしてほしい。

 

ああ、いい番組だった。鬱。