以前、西洋で「子ども」という概念が生まれたのは18世紀になってからだった!という話を書きました。
中世ヨーロッパでは、赤ちゃんがミイラのようにぐるぐる巻きにされていることも書きました。曲がった足をまっすぐにするために、大真面目にやっていたのです。
本当に恐ろしい。
衝撃的なことを書いたものの、やはりビジュアル的にサポートする資料はないものか、と家の中をガサゴソしていると、見つけました!!
「English Fashions」
イギリスの服飾史をカラーのイラストと文章で時代別にわかりやすくまとめています。
そこそこ古い本に見えますが、発行年が書いていませんでした。
ノルマン時代から始まるこの本の、中世の時代のページがこちらです。
14世紀初め、と書かれています。
騎士の時代です。
右ページの赤ん坊を抱いた女性に注目です。
赤ちゃんが!ミイラみたいにぐるぐる巻き!!
あくまでも!不完全な大人から早く立派な大人になってほしい、という親心です。
しかし、どう考えても、心身ともにいい影響は与えそうにないですね…。
続いて、エリザベス時代。シェイクスピアの時代です。(1600年ごろ)
ひだひだの襟を作る工房の様子が描かれています。
シェイクスピアの首のところに巻かれているあれです。
この工房では、小さな子どもも大人と同じように働いている様子が描かれています。
もっと小さな子は歩行器に入っているようです。
早く一人前に歩いて欲しいという親心です。あくまでも。
遊んで欲しそうですが、お姉さんらしき子供の手はとても忙しそうです。まだまだ子どもの労働が当たり前だった時代です。
横で椅子に座って襟を作っているのは母親でしょうか。
この時代、裕福な家の子息は学校に通っていて、ラテン語などを学んだそうです。
続いて、時代は飛び、ビクトリア時代中期(1851年)
で19世紀中頃には児童文学が花開くことを書きました。
「子ども」の概念が生まれ、児童期にはその発達に合わせた教育や遊びが必要であると意識が変わってきた頃です。不完全な大人としてではなく、子どもは子どもとして扱われるようになってきた頃です。
この絵は第一回万国博覧会クリスタルパレスを背景にしたハイド・パークの風景です。
ここまで、一切登場しなかったものが、この絵の中にあります。
それは、子ども用のおもちゃです。
男の子がひもで引く機関車、女の子の足元にあるボール。
子どもの為の遊具なんて、それまではほとんどなく、木の棒でチャンバラしたり、大人のモノマネをするような遊びしかなかったのに、明らかに子どもの世界が生まれていることがこの絵から伺い知ることができます。
やっぱりビジュアルがある方がイメージしやすいですね。
なかなか面白い本を買っていたんだなあ、と今更ながら感心しています。