なる子とマーナル☆

少女の心を忘れない、なる子とマーナル☆によるアート・旅行・キッズ応援ブログ

ハウル映画のモデルになった街、Colmar

そうだ、コルマール行こう

アルザス地方、ドイツとの国境にあり、ドイツの田舎っぽい木組みが美しいかわいいお家が並ぶ美しい村々が点在することで人気の観光エリアです。

 

フランスの北東部に位置しますが、フランスの玄関口、パリを拠点にすると結構遠いのです。電車で2時間半です。

今度フランスに行った時には行ってみたいと思いながらなかなか行く機会がなかったわけです。今回スイスのバーゼルに滞在していたわけですが、これはまたとないチャンスなのです。

 

フランス、ドイツと国境を接しているバーゼルは、そもそも空港はフランス国内にあり、バーゼル市内にある鉄道駅にはフランスやドイツと繋がっている路線があるのです。

 

アルザスの人気の街、Colmar(コルマール)へは、バーゼル駅から約1時間弱。

俄然、手軽なお出かけ感があります。

 

ある日、目が覚めた私は「あ、そうだ、コルマール行こう」と思ったわけです。My Favorite thingsが鳴り出して止まりません。

 

バーゼル(Basel)SBB駅の端っこの方にフランス行きの鉄道駅、Bâle駅があります。バーゼルのフランス語表記です!かつて使われていただろう関税の小さな建物もあります。

切符は自販機でも買えるようですが、英語表記に切り替えられないorもしくは切り替え方がわかず、何より使い方が難解で近くにいたお兄さんに助けてもらおうと声をかけましたが、その人もわからず諦めました。急いでBasel SBB駅のインフォメーションへ戻り、カウンターデスクで切符を買い、1時間に1本しかない電車に滑り込みセーフで乗りました。

機械の使い勝手ひとつとっても、スイスの素晴らしさを実感。フランス意味不明すぎるし、英語使えないとかマジで不親切。

 

そして急いでチケット買ったのに、検札来てくれなかった…。


でも、フランス・アルザス地方の電車は、ころんとしてかわいいですね。

 

コルマール

着きました!11時過ぎに着きました。ちょっと曇っています。

駅なかも雰囲気があって素敵でした。

 

旧市街まで10分ほど歩きます。

 

コルマールの街並み

ハウルの動く城」や「美女と野獣」の舞台のモデルになったと言われているコルマールです。かわいい〜。

かわいい〜。

かわいい〜。(語彙力)

 

そして、ハウルの動く城でモデルになったという建物がこちら。

特徴的な窓のある塔がファンタジーの世界にマッチしますね!螺旋階段が中にあるのかな?

しかもコルマールにはソフィの帽子屋さんを彷彿とさせるお店もあるんですよ!

素敵すぎるんですけど!

ハウルの動く城」は必ずこの夏もう一度見ます。

 

コルマールにもリトルベニス的な場所があります。

人気のエリアで、ゴンドラ的なものに乗ることもできます。

 

 

なんか、こういうのよくありますよね。ハートの鍵。

 

ウンターリンデン美術館

小さなかわいい街、コルマールですが、世界中からこれを目当てに人が来る美術館があります。ウンターリンデン美術館はツーリストインフォメーションのすぐ目の前。

なんと言っても目玉は「イーゼンハイムの祭壇画」です。

修道院の建物の中で展示されています。グリューネヴァルトの代表作と言われています。

キリストの磔の絵などは見れば見るほど痛々しく、苦しい。

多くの人がこの大作の前で動けなくなっていました。

 

観音開きのパネルは見やすいように個別に展示されていました。模型があるので元々の仕組みを確認することができます。

大胆かつ細密に描かれていて

すごい迫力でした。

 

他にもクラーナハのちょっと怖いかわい子ちゃんとか、色々いい作品がありました。

古代から近代までバラエティ豊かな品揃えでこんな地方にある美術館としてはかなりのレベルの高さでした。

 

お腹が空いたので、美術館のレストランでランチ。フルコースだと19ユーロですが、前菜+メインorメイン+デザートなら15ユーロ。これだ!前菜とメインをいただきました。一番安い白ワインも合わせて20ユーロ以内におさまります。スイスに比べると激安!!

 

前菜「仔牛舌のカルパッチョ」お、美味しい〜〜〜!!なんだこれ!!

 

メインはお魚にしました。カレー風味の不思議なソース。フランス料理って複雑〜。

やばい、フレンチ最高や〜。

ワインでお顔真っ赤っか。満足〜。

 

デザートを抜いたのは、どうせその辺のカフェで休憩するだろうと見込んでのこと。

ハウルの動く城のモデルになった建物の近くのカフェでテラス席に座りました。

フランスといえばエクレアだろう、と注文。

エクレアに関しては、「やはりパリの味には敵わないな」と思ってしまいましたが、パリだとちんちくりんの日本人はなかなかテラスに案内してもらえないような気がするので、テラス席に案内してもらえたと言う優越感と気さくな感じのご主人で大変満足しました。

店内はアンティークな感じで超かわいかったです。店内の方が楽しい、と言う人も少なくないはず。

 

マスコットキャラクターはコウノトリ

アルザス地方のお土産といえば、アルザスワインとかクグロフとか美味しいものが色々あるのですが、お土産物屋さんで目についたのがコウノトリをあしらった諸々グッズ。

赤いクチバシであるのがアルザスコウノトリの特徴なのだそうです。幸せを運んでくる春のシンボル。黒い嘴のコウノトリと区別するのにシュバシコウと言う名があるそうです。

おしゃれなものもあれば、商業的に消費されまくっているような感じもあります。それにしてもこんなにコウノトリがマスコット化しているなんて知らなかった。

 

さあ、そろそろ帰ろうか〜。

と、空を見上げた時に…あれ?

あれあれ?

かなり大きい鳥が飛んでる。

白い体に翼の先が黒い。

コウノトリだ!!

写真ではわかりにくいけど!!

 

本当になんだか幸せな気持ちになりました。バーゼルに戻って、リサイクルショップにあったアルザス地方のベッコフ鍋というのを買いました。オーバル型でかわいいのです。定価で買うと高いからね!ちょっとお得な気分です。(この時はまだ郵送費問題に気づいていない…)

 

 

コロナ禍での帰国でピンチ!

今週のお題「人生最大のピンチ」

人生最大のピンチと言ってしまうのは大袈裟かもしれませんが、最近のかなり焦った話を聞いてください!

 

スイス・バーゼルに約3ヶ月滞在しておりましたが、先日なんとか帰国しました。

いやあ、大変でした。

 

ヨーロッパの航空会社は今大変らしい

ヨーロッパはコロナ感染者の増加、ホリデーシーズン突入による人権不足と混雑により、プチ混乱中でした。さらに、ロシアのウクライナ侵攻により、ロシア上空を飛行できないため、運行ルートや便数も調整されていたりします。

 

主に後者の理由で私のフライトスケジュールは一度変更になりました。

 

元々は、夕方に出発してシャルル・ド・ゴールで乗り換え、羽田に到着する予定でしたが、帰国1ヶ月前には変更の案内がありました。

早朝発、1時間30分しかない短いトランジット、成田着。

嫌な予感しかしないスケジュール。

 

 

帰国に必要なもの

まず、スイスは2022年の初め頃にはマスク着用義務が全くなくなり、マスクなし生活を謳歌していた私ですが、ついにこの時がきました。

 

PCR検査による陰性証明 出発の72時間以内

MySOSアプリダウンロードとファーストトラック申請(到着8時間前までに)

 

めんどくさい!

PCR検査はバーゼル空港の中の検査センターに行きました。事前に予約しておくと現地で入力する項目が少なくて済むので予約がおすすめ。

My SOSは、帰国時の陰性証明やワクチン証明の確認事務作業をアプリで事前にしてしまうことで、入国がスムーズになるという仕組みです。

まずワクチン接種証明についての入力で第一審査があり、PCR検査の結果も入力と証明書の写真を送って審査となります。全部審査が通ると帰国時にファーストトラックを簡単なチェックのみで通過することができます。

 

さらにコロナとか関係なく面倒だな、と思っていたのが、、、

 

・荷物のパッキング

 

飛行機に乗せられる荷物の量も制限があります。昔は結構たくさん持って行けたような記憶がありますが、今回の航空会社では、預けられるのはスーツケース一個23kgまで。それ以上は追加料金が必要です。(100ドル〜)

機内持ち込みも小さなカバン1個とハンドバッグorパソコンバッグのみ。

 

もちろん、3ヶ月の間に荷物は増えに増え、お土産もかさばって絶対にスーツケースに収まりません。追加料金を払うか送るか。金額的には追加料金の方が安いと言えますが、荷物が多くなると、空港までタクシー利用になってしまったりと結局お金がかかってしまいそうです。

 

そこで、荷物の一部を郵送にすることにしました。

ここでも考えることがあります。

スイスから送るか、ドイツから送るか。です。

 

バーゼルは国境の街なので、バーゼル市民は節約のために頻繁にドイツやフランスに行きます。特にドイツはアクセスしやすく、安い。

国際郵便ならドイツから送る方が格安なのですが。

 

昨今の郵便事情の混乱。特に「航空会社ルフトハンザがクラスターで人員不足」なんてニュースが出たり、友人がドイツから日本へ送った荷物が紛失したりする話を聞いていたので、ドイツから送るのは不安。

ちょっと高くてもスイスから送ることにしました。

事前にネットで必要項目を入力しておく必要があります。紙の記入フォームはありません。

 

結論から言うとスイスから送って良かったです。エコノミークラスの国際郵便できっちり2週間後に日本に到着しました。スイスと日本の世界に誇れる安全安心郵便システムは最強のタッグでした。傷なしで届いて安心しました。

 

スイスはコロナとかもう関係ねぇ!

先に書いた通り、スイスではもうコロナと共存社会になっており、体調が悪ければPCR検査等受けることはできますが、(スイスは皆保険制度あります)もし、万が一コロナ陽性だったとしても、外出しても構いません。夏風邪が流行してるとかなんとかで、街中で咳をしてちょっと体調悪そうな人がいたりしました。

そんな中でマスクなし生活をしていたので、ワクチン3回接種してることもあって無症状陽性が一番困るわけです。

かなりドキドキしましたが、陰性結果が出てほっとしました。

 

荷物もまとめ、陰性証明もゲット。これで帰れる。

 

ああ、でもスイス大好き。

 

帰りたくないな〜〜〜!

 

(フラグ、立った?)

 

午前4時半のリスケ

早の便でバーゼルを発つ予定だったので、4時半に目覚ましをかけ、5時に部屋を出る段取りで就寝しました。ドキドキするけど、ちょっとでも寝ないとね。

 

きっちり目覚ましで起き、スマホチェック。

 

ん?メール?

航空会社から?

 

Due to the modification of the departure time of your flight, between BASEL/MULHOUSE and PARIS we have modified your trip.」

 

え?

は?

 

予定していたフライトの出発時間の変更により、あなたのフライト内容を変更しました?

 

え?

いつに?

 

え?

2日後?

 

え?今4時半、私5時に出発しようとしてる。でも私が乗る飛行機2日後に変更?

 

この部屋早朝に出ることになってるのに!

 

ぎゃ〜!?

ピンチ、ピンチ!!

 

ピンチを乗り越える

早朝便の出発時刻が1時間遅延になった影響で、予約のリスケが自動的にされてしまったようでした。30分じゃ、出国手続きを含めたトランジットは絶対に無理だもんね。

 

さて、まず、バーゼルでの延泊2日をどうするか。

朝5時の時点ではどうにもできず、泊まっていた場所の共有スペースに全荷物と共に移動し、事務所スタッフの出勤を待つ。

辛い時間だったけど、クリーナーの女性が色々察してくれて飲み物の差し入れをくれたりしました。スイス人かどうかは、わからないけど、平和なスイスで暮らしている人はみんな優しい…。

 

事務所の学生インターンさんが10時ごろ来てくれて、まず、他の部屋を2泊提供してもらえることに。泊まるところがある。移動しなくていい!!(私が使っていた部屋はもう予約があった)

 

一安心。

 

次に日本大使館に電話。なぜかと言うと、2泊延びたことでシェンゲン加盟国の滞在可能日数90日を1日超えてしまうので、大丈夫なのか確認したかったからです。

事務所の電話を借りて、「帰国に際しどうしたら良いか困っていて…」と問い合わせたところ、「コロナですか?」と被せるように言ってもらったのですが、「いえ、、、フライト変更で滞在日数が…」と言うと、「大使館は業務外なので、滞在しているエリアの移民局に問い合わせてください。」とのこと。

 

そうなんだ、知らなかった!

 

移民局に電話するのはドイツ語ができない私の代わりに学生インターンさんがしてくれました。

初めは担当者がおらず、1時間後にかけ直し。担当者から昼までにかけ直すと言われ、ちょうどお昼に電話がかかってきました。

 

「予期せぬフライト変更はよくあることなので、普通に出国してOK」ということでした。

念の為、フライト変更になった経緯がわかるメールを印刷してもらいました。

担当者の方は1人で判断せず、念の為、別の移民局の人に確認をして折り返してくれたのでした。スイス人、仕事が出来すぎる。ちゃんとしてる。最高。

 

ほっとしたところで、ランチにピザ風の郷土料理をテイクアウェイして食べる。

そんなこんなで、かなり焦りましたが、パニックのまま飛行場へ行ったりしなくて良かったです。

なんてことでしょう。

「帰りたくな〜い」が叶ってしまいました。

いや、こんな形は望んでなかったんだけど。

 

2日滞在が延びたことで、PCR検査をもう一度受けることに。

もう一度100ユーロ払った時には「おえっ」となりましたが、これは航空会社が補償してくれるはずです。申請して1ヶ月経ってまだ返金されてませんけど。

 

ピンチを乗り越えて安心した私は、調子に乗ってバーゼル近郊の街に遊びに行ったりして楽しい延泊になりました。

 

そうです。ピンチはチャンスじゃなくて、ピンチはラッキーになった話でした。

ちゃんちゃん。

La Biennale di Venezia ヴェネツィア・ビエンナーレ2022 ⑤ 月曜日鑑賞編

月曜日はジャルディーニ、アルセナーレのメイン会場は基本的にお休みです。

じゃあ、のんびりヴェニス観光かな〜。

ちょっと待って!

月曜日でも開いている市街地の展示や、ヴェネツィアビエンナーレに合わせて魅力的な特別展を開催中の美術館がたくさんあります!

のんびりしているような時間はないのです!!

 

アカデミア美術館 アニッシュ・カプーア展

巨匠、カプーアです。

ベネチアの建物に合いますね!

 

アカデミア美術館は、ボッシュの作品など、常設展も見応えあり。

そしてカプーアの大個展はPlazzo Manfrinでも開催されています。

こちらは行けず〜。Plazzo Manfrinの方が大規模な感じがします。行ける方はぜひ!

 

Palazzo Grassi マルレーネ・デュマ展


今、注目されている画家のひとりです。

かなりの大規模個展。これだけまとめて見ることができる機会はなかなかないと思います。必見の展示です。

www.palazzograssi.it

 

Punta della Dogana ブルース・ナウマン

Palazzo GrassiのチケットでPunta della Doganaにも入場することができます。

ブルース・ナウマンのパフォーマンスアート、ビデオアートのインスタレーション展です。

パフォーマンス系は私の好みではないので、さらっと鑑賞。

ベルタワーに登れるので、景色も楽しめます。

 

デュカーレ宮殿 アンセルム・キーファー展

こちらは私は行っていないのですが、かなり話題の展示。デュカーレ宮殿は予約しないと入れないっぽく。(もしくはすごい並ぶ)

計画性のない私は行ってないっていうか、行けなかったのです。。。

 

その他ビエンナーレ関連展示

無料で入れるビエンナーレ関連展示はやはり月曜休みのところが多いです。

しかし、いくつか開館しているところもあるのでぜひ行ってみて欲しい。

ベネチアの古いお屋敷を会場にしているところが多く、作品だけでなくなかなか中に入ることのできない建物の内部を見学できるという特別感もあります。

 

Chun Kwang Young

ここの建物は豪華で素晴らしかった!

 

 

Heinz Mack

道端にある作品は月曜でも見れる。

散髪屋のポールみたいに、くるくる回っています。

 

 

音楽学校BENEDETTO MARCHELLOでの展示-Parasol unit

中庭のある美しい音楽学校の一部で展示がありました。

あちこちから楽器や声楽が聞こえてきて、雰囲気もあり好きな場所でした。

 

ベネチアングラスのシャンデリアが豪華!気になる作品もいくつかあり、なかなか良かったです。

 

音楽学校らしく階段の壁画は音楽をアートにしたもの。可愛い。

 

サン・マルコ広場近くのルイヴィトンの上の階にも展示がありました。

こんな感じで、滞在期間に月曜日がかぶっていても、行くべきところはたくさんありました。

 

ビエンナーレはアートのトレンドが垣間見えたり、それぞれの国の事情なんかが見えたりするのが面白いですね。

 

余談ですが、イタリアはほぼオープンエアのボートでもマスク着用で、びっくりしました。公共交通機関はマスクが必要なようです。

そうでなくてもヴェネツィアはとても暑くて大変だったけど、アート三昧で楽しかったです。

 

La Biennale di Venezia ヴェネツィア・ビエンナーレ2022 ④ Arsenaleアルセナーレ

ヴェネツィアビエンナーレで外せないのがメイン会場の一つ、アルセナーレです。

中世の造船所跡が会場になっています。ここでは企画展示の「The Milk of Dreams」と各国展示ブースが入っています。

 

入場チケットが必要なのは、ここアルセナーレとジャルディーニ。基本のチケットでは、それぞれ1回ずつしか入場できませんし、どちらもじっくり見ていたら一日かかるので、朝から並ぶ人が多いです。

 

早く着き過ぎると誰もいません。

 

想定内です。

 

朝食をベニスのカフェでいただくのがよろしいのではないでしょうか。おほほ。

ピスタチオクリームのクロワッサンとカプチーノです。

 

そして、周辺でアルセナーレより1時間早く開館する無料で鑑賞できる国別展示があったりするので、そちらをささっと見て時間を潰します。

 

私が行ったのはホリデーシーズン前の6月平日なので、今はもっと混んでいる可能性が高いのですが、開館30分前に到着して、前から10番目くらいでした。

開館時間直前になると100人くらいは並んでいるように見えました。

チケット売り場の入り口は別で、そちらも並んでいました。

計画的に行動することをお勧めします!

 

The Mik of Dreamsの展示からスタートです。

 

入り口はシモーヌ・リー

 

 

作家名を書くのが面倒なぐらい作品数があるので、適当に気になった作品の写真を並べます。

 

 

このタコ宇宙人みたいなのは、なぜか色で性別を勝手に認識したような気持ちになった自分が怖くなりました。

いや〜、思い込みってありますよね。考えさせられました。



 

この日、午後の電車に乗る予定があった私は物凄い駆け足で鑑賞していたので、どこから国別展示に切り替わったか、思い出せません。。。

 

多分、この辺りからだと思うの。

 

これは、話題になったウクライナの漏斗の作品ですね。限られた資源が云々を表現しているとか。隣のブースとの相性が悪いです。それぞれ良い作品なのに。

 

とまあ、いろいろありまして、今回評判が良かったと言われているイタリア館です。

過去に栄えた産業の遺跡のような体感展示。ちょっと寂しい、「虚」の空間。前の人と距離を置いて入場するため、少し並びますが、この寂しさを体感するには必要な待ち時間ですね。

とある日本の作家さんの展示を思い出しましたが、アーティストをアーティストで例えるのは良くないな、と思ったので黙ってます。

 

メタバース空間を表現したという中国の展示も気になりました。

 

最後の最後の方で、カタツムリの殻とメラミンスポンジがエアホッケーしてるみたいな作品が好きでした。


もうちょっとゆっくり見たかったかな。

 

最初に入った入り口にショップがあるので、戻ってグッズを買いました。

トートバッグと缶バッジ。

 

これで、メインエリアの振り返りは終わりましたが、毎週月曜日は基本的にメイン会場はお休み。しかし、ビエンナーレ期間中は、周辺に国別展示が散らばっていて、月曜日も開いているところもあるし、他にも見どころがたくさんあるので、次回はその他エリアの紹介をしたいと思います。

La Biennale di Venezia ヴェネツィア・ビエンナーレ2022③ The Milk of Dreamsと女性アーティストたち

2022年のテーマタイトルは「The Milk of Dream」

この不思議なタイトルはレオノーラ・キャリントンというシュルレアリスムの女性アーティストの著書から引用されているそうです。

 

 

 

 

レオノーラ・キャリントン、、、ご存知ですか?

 

シュルレアリスムの画家と言えば、ダリ、マグリット、エルンスト、キリコ、などなど有名なアーティストがたくさんいます。日本でもシュルレアリスムの画家展は何度も企画されていると思いますが、特集されるのは男性アーティストばかりですよね。

 

実は、シュルレアリスムの画家には才能あふれる女性アーティストも何人か存在しました。シュルレアリスムだけではありません。印象派と呼ばれるグループにも女性作家はいたのです。

ところが有名になり評価されるのは男性ばかり。

 

現在の社会の流れと同様、現代アートの世界でも女性アーティスト、ノンバイナリーアーティストが注目されています。それは現代アーティストにとどまらず、過去を振り返って見直していくことが一つのトレンドだと言えます。

 

レオノーラ・キャリントンマックス・エルンストの元妻のひとり。恋多き男としても有名なエルンストですが、ピカソみたいに若い女に手を出したり、喧嘩している妻と愛人を見て楽しんだりする男と比べ、パートナーには自分のキャリアにプラスになる女性を求める傾向があったエルンスト。キャリントンのような才能のある女性との時間はエルンストのクリエイティビティに良い影響があったのだろうと想像できます。

 

もちろん、キャリントンにとってもそうだっただろうと思われます。

 

エルンストの歴代妻には、スーパー富豪で美術コレクターのペギー・グッゲンハイム、2019年にテート・モダンで特別展が開催されたドロシア・タニングらがいます。タニングは後にソフト・スカルプチャーの制作など現代美術につながる重要な作家となりました。



www.ma-naru.com

 

そしてレオノーラ・キャリントンも不思議な世界観の絵画を制作した人気の作家でした。男性優位社会の中で、女性作家は埋もれてきました。

日本でもなかなかお目にかかることはありませんが、実は過去に特別展が開催されたこともあります。

そして、私は若い頃その展示に遭遇しており、衝撃と影響を受けました。

当時買ったポストカード。

 

ジャルディーニ会場のセントラルパビリオンではレオノーラ・キャリントンの絵画だけでなく、彼女と仲の良かったレメディオス・バロの作品など、多くの忘れてはいけない女性アーティストたちの作品が展示されていました。

 

こうして、女性アーティストに注目が集まる時代の中で、2022年のヴェネツィアビエンナーレの参加アーティストの大半が女性となり、ノンバイナリーのアーティストも合わせると90%を超えたそうです。

 

あくまでも個人的な印象ではありますが、女性作家の方が、身体や自己、ジェンダーなど人間の内側に向き合う作風が多いように思います。一方、男性作家は社会など外向きが多いような。

そして、今回のビエンナーレでは3つの大きなテーマがあり、「The representation of bodies and their metamorphoses」、「the relationship between individuals and technologies」、「the  connection between bodies and the earth」ということなので、女性アーティストが多くなるのも自然なように思います。

 

2022年の金獅子賞は、ナショナルパビリオンでも印象的な作品を展開したシモーヌ・リーでした。

次回はこのシモーヌ・リーの作品からスタートするもう一つのメイン会場「アーセナーレ」の展示作品をダイジェストで振り返りたいと思います。

ヴェネツィア・ビエンナーレ②ジャルディーニ 国別パビリオン

メイン会場の一つ、ジャルディーニには国別の展示パビリオンが並んでいます。

このパビリオン群は一時的なものではなく、何度も繰り返し使う為、しっかりとした建物になっています。

 

例えばこちらはスペイン館。シンプルな煉瓦造りがかっこいい。

 

一方、こちらは金ピカのハンガリー館。


そして、セントラルパビリオンという建物があり、こちらでは国別展示ではなく、ビエンナーレのキュレーターによる「Milk of Dream」が開催されていました。この特別展はもう一つのメイン会場アーセナーレにも続きます。

 

 

国別パビリオン

ここからはいくつかピックアップ

 

ベルギー館/フランシス・アリス「The Nature of the Game」

今回私が一番見たかった作品。2017年にはイラク館で展示をしたフランシス・アリスですが、ベルギー生まれという縁からでしょうか、ベルギー館での出展です。

パビリオンの中にはたくさんのモニターが、世界中の子どもたちの遊び(Game)を映し出しています。

音で虫を呼ぶ遊びをするサバンナの子どもたち。廃屋で鏡を使いながら、バトルごっこをする男の子たち。ひたすらにタイヤを転がし続ける子。縄跳び、カタツムリゲーム、、、など。

どんな状況下であっても、子どもたちの遊びに向かう好奇心やエネルギーは共通するものを感じます。フランシス・アリスは社会問題と日常を同時に捉える印象的な作品を多く発表しています。

世界には戦争や移民問題などがあります。またコロナで私たちの日常も変わってしまいました。そんな中、子どもたちの「遊び」の様子はずっと見ていられるし、癒されます。しかし、ふと、この子どもたちの「日常」の背景にあるものを考えた時、様々な課題に大人は直面するのではないでしょうか。

好きな作家ということで贔屓目が強めですが、良かったです。

 

ポーランド館/マウゴジャータ・ミルガ・タス

パッチワーク刺繍の作品でロマの生活を描いています。

 

ギリシャ

ギリシャ館もロマをテーマにした作品で、VRで鑑賞するタイプでした。座席数が限られていて、すごい行列です。ロマ自体が日本で暮らす私にとっては遠い存在で、いまいちピンと来ませんでした。炎天下で待つことで疲れてしまい、VRは半分以上寝てしまった。。。

時間のない人はここはスキップして、もっと見たいところでじっくり過ごすことをお勧めします。

 

セルビア館/マリヤナ・コラリッチ

海とプールの映像作品

圧倒的な水量って良いですね。特にプールの作品でそう感じました。

 

ハンガリー

モカワ彫刻インスタレーション

 

韓国館

今回人気だったパビリオンの一つではないでしょうか。キネティックな作品ですが、色も変化させながら、うねうねと動く様子に目が離せなくなってしまいます。

 

アメリカ館/シモーネ・リー

スーパースター街道まっしぐらのシモーネ・リー!

シンボリックで巨大な女性像は、プリミティブかつモダンで美しいです。

 

アメリカ館では初めて黒人女性作家が選出されたそうです。

白人社会のアートプラットフォームとして存在し続けたビエンナーレに新しい風は吹いているのでしょうか。

シモーネ・リーは、個人で今年のビエンナーレの金獅子賞を受賞しています。

 

日本館/ダムタイプ

日本館は最近再評価されているっぽいダムタイプの展示でした。

 

ドット文字は懐かしくて、もはやデジタルではなくアナログ感さえありますよね。

隣の韓国館のインパクトも大きいせいか、印象に残りにくい展示でした。平成初期ぐらいにあった、各国から見た日本のSF感にも届かない。ちゃんとメッセージ読めば印象は変わったのかもしれないけれど、疲れて読む気になりませんでした。日本のパビリオンだからしっかり見たかったのだけれど。

 

世界のトレンドとしては、自国が置かれたシチュエーションであったり、自国内にあるマイノリティの存在にフォーカスしているものが多かった印象です。

 

とすれば、ジェンダーギャップランキング世界116位、アイヌ、沖縄、経済格差、政治の歪み、いくらでも切り込めるところはあるのに、アートに表出しない全体的な弱さがあるんだろうな。

 

そんなわけで各国に比べると若干物足りなさを感じました。

 

 

ウクライナ広場

特設された土嚢のモニュメント。戦火の耐えないウクライナで、実際にこのような積み上げられた土嚢があるそうです。街中に元々あるモニュメントを守ろうと土嚢で囲んでいるそうです。どれだけ効果があるのかわかりませんが、パブリックアート的なものを守りたいという気持ちが伝わりますね。

 

ロシア館

今回は参加辞退を表明したロシア館。覗き込むと見える放置された資材が寂しげ。

 

紹介したのは本当に一部のパビリオンです。

では、セントラルパビリオンについては次回!

 

La Biennale di Venezia ヴェネツィア・ビエンナーレ2022① 準備編

世界的現代美術の祭典

ヴェネツィアヴェネチアベネチア、ベニス 、ヴェニス、、、どれが一番しっくり来るのかよくわからなかったので、wikipediaヴェネツィア表記にすることにしました。

 

1895年から続いており、コロナで延期もありましたが今回が59回目。ビエンナーレとは2年に1回という意味です。イタリアの水の都ヴェネチアで開催されていて、建築部門や演劇部門とかもあるらしいのですが、私にとってはヴェネツィアビエンナーレと言えば、「現代美術の祭典」です。

 

今年はヨーロッパはコロナとの共存が始まって、数々のイベントが延期を経て開催。ビエンナーレはもちろん、ドイツ・カッセルで開催されるドクメンタ(5年に一回)、今年は通常開催となった世界的なアートフェア、スイスのアート・バーゼル(毎年)、これらが同年開催となる珍しい年ということで、世界中のアートファンがヨーロッパに集まっていると言います。

 

私は、どうしてもドクメンタに行く時間が取れず残念でしたが、ビエンナーレとアートバーゼルには行っていました。

 

本当に盛り沢山なのでどうしようかと思いますが、数回に分けてレポートしたいと思います。

 

今回はビエンナーレの第1回。

 

会場について

メイン会場は有名なサン・マルコ広場よりもずっと東側の方にあります。

ジャルディー二アーセナーレという二つのメイン会場で展示があり、この二つはチケットによる入場となります。また、ヴェネツィア中に関連展示が点在します。大体無料です。そして、もちろんビエンナーレに合わせて各美術館やギャラリーも目玉展示(有料)をぶつけてくるので見どころでいっぱい。見るのに何日必要かと聞かれたら、最低2日と皆口を揃えて答えるでしょう。

 

基本的な情報はホームページで確認。2022年の会期は4月23日〜11月27日。

一部の日程を除き、メインの2会場は基本的に月曜休みです。(要注意)

www.labiennale.org

 

ジャルディーニ

広い公園が会場です。この公園内には、主に各国のパビリオンがあります。それぞれ国のキュレーターが独自の展示を展開します。日本館もあります。国際的な祭典に自国のパビリオンがあるのは、なんだか嬉しい。このエリアは老舗の参加国が中心なので。

各国のパビリオンの他に大きな展示館があります。ここはビエンナーレの企画展示室です。

 

アーセナーレ

ながーい倉庫のようなスペースがアーセナーレの会場です。こちらはキュレーターによる企画展示が中心です。地元のイタリア館、そしてジャルディーニにパビリオンを持たない参加国が、アーセナーレの一部を間借りして展示しています。

 

その他、街中

街中のあちこちに会場があり、美しい邸宅をそのまま展示場にしているところもあるので、普段のベネチア観光では見れない場所にも入ることができます。

 

どこからダウンロードしたのか忘れてしまいましたが、こちらに全エリアの地図があります。

https://static.labiennale.org/files/arte/Documenti/brochure-arte-2022-c.pdf

開館時間は予告なく変更になりこともありますが、月曜日に開いているところもあるので、もし旅の日程が月曜日を含むようであれば、要チェックです。

 

ちなみにこの地図の入ったパンフレットは、わざわざ言わないともらえないのかわかりませんが、ついぞ紙バージョンを見かけることはありませんでした。どこにあったんだろう…。

 

スマホで確認しながら巡っていると、バッテリーの消費が早くて困ってしまったので、地図部分だけ事前に印刷して持っていくと良さそうです。

 

チケット

各種割引などありますが、基本的には大人1名25.5ユーロです。

ネットで購入することもできますが、現地で購入可能です。

私はジャルディーニのチケット売り場で買いました。昼ごろだったので空いていましたが、朝一番は並んでいると思います。

朝一にチケットの列と入場の列ができるので、チケットを買ってからまた入場の列に並ぶとかなり時間がかかると思います。チケットを持っていれば、入場の列に並ぶことができますが、みんな考えることは同じなので、開場5分前ぐらいには100名くらい並んでると思っていいと思います。

 

ちなみに私はアーセナーレの会場に30分前に着いて前から10番目くらいでした。後ろは大行列でした。

 

チケットにはバーコードが印刷されていて、ジャルディーニ、アーセナーレで各一回ずつ入ることができます。

どちらの会場もじっくり見れば1日でも足りないぐらいなので、2日に分けて鑑賞する人がほとんどだと思います。

 

では、次の記事から会場と展示作品について記録していきたいと思います!

長くなりそう〜。